こんにちは、北條です。
前回の記事では、
先代経営者と後継者の間に生じる“溝”についてお話ししました。
中でも特に、
「こんな価値を社会に届けたい」という思いで
商品を開発したり、日々の問題に立ち向かっている
一方で、後継者は…
というケースがとても多い
という話をしました。
これに共感される方も多いのではないでしょうか。
しかしこの“やりたいことがない”状態というのは、
会社の将来にとって非常に危険な状態でもあります。
なぜなら、会社の利益を維持・成長させるには、
ある程度新しいことに取り組む必要があるからです。
でもその意欲が湧かない。
では、なぜそのようなことが起きるのでしょうか?
今回は、その原因と対処法について、私なりの考えをお伝えしたいと思います。
事業承継に関する書籍やセミナーでは、よく
親を立てなさい
感謝の気持ちを持ちなさい
という話がされます。
しかし、僕はこの考え方に正直、強い違和感を持っています。
というのも、多くの創業者自身が、
“親を立てなかったからこそ”起業できた人たちだからです。
たとえば私の祖父・北條勝義(茜丸の創業者)は、
静岡の清水という田舎の田んぼを捨てて、
単身、大阪に出て起業しました。
北川製餡という会社に丁稚奉公し、修行を重ねて独立。
その選択は、家族からすれば“裏切り”に映る面もあったと思います。
創業者とは、ある意味「常識の外側」に出た人たちなのです。
それに対して、後継者はどうでしょうか。
多くの場合、
親の意向に従う、真面目で従順なタイプが多い。
そうでなければ、最初から家業に入らず、外に出ていくはずです。
中には、
「うちの会社に来た方が楽だぞ」と親に言われて戻る人もいます。
また、財務基盤がしっかりしている企業であればあるほど、
「外に出て苦労するよりも、
この会社にいる方が楽だな」
と、無意識のうちに学習してしまっているケースが多いのです。
しかし、社会や市場が変化する中では、
その“従順さ”が足を引っ張ることになります。
親から引き継ぐ時期は、多くの場合で市場の成熟期〜衰退期。
つまり、新しいことを始めなければ会社は生き残れません。
そのため、後継者自身が自分なりの意見を持ち、
方針を打ち出していく必要がある。
でも、そうなると
親や会長、古参社員と衝突することも出てくる。
その葛藤の中で、後継者は自由を束縛される感覚に陥ります。
こうした抑圧された状態が続くと、やがて…
「自分って、何をしたかったんだろう?」
と、“やりたいこと”がわからなくなってしまいます。
この状態は、事業の停滞、ひいては会社の消滅にもつながりかねません。
後継者に送る3つの提案
このような後継者の“モヤモヤ”を乗り越えるために、
私からは3つの提案をさせていただきます。
今、あなたの頭の中が「この状況さえなければ…」と
マイナスの抑圧にフォーカスしているのならば、
視点を変えて、
「自分は本当は何をやりたいんだろう?」
という問いに向き合ってみてください。
それは本当に好きなことか(情熱)?
自分に向いているか(才能)?
自分にとって意味があるか(価値観)?
この3つの観点で、自分の“喜びの源泉”を探ってみてください。
今の事業の延長にあるなら、社内で挑戦してみましょう。
延長線上になければ、会社の外で小さく始めてみることが重要です。
私自身も、まったく別の事業をゼロから始めたことで、
多くの学びと気づきを得ました。
社外で経験することで、新たな視点や価値観が得られることも多いです。
なんとなくで家業を継いでしまった
毎日の業務に追われ、苦痛の回避にばかり意識が向いている
やりたいことがわからなくなってきた
そんな状態であれば、
今回ご紹介した3つのステップを、ぜひ試してみてください。
小さな一歩の積み重ねが、
やがて大きな変化を生むはずです。
それでは、また。
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