2025.07.09

【HACCP認証】現場の負担にならないベストな規格の選び方

こんにちは、北條です。

前回のブログでは、

  • 海外企業や大手流通と取引するにはHACCP認証が必須になる

  • HACCPは温度や調理条件などの“当たり前”を記録する管理手法

  • 設備投資も不要なケースが多く、思っているほど難しくない

といった内容をお伝えしました。

今回は、実際にどのHACCP規格を選べばいいのか?について深掘りしていきます。


HACCPといっても実はいろいろな規格がある

HACCP認証と一口に言っても、実は様々な規格があります。

たとえば…

  • ISO22000 / FSSC22000

  • JFS-B / JFS-C

  • BRC / SQF / GlobalGAP

などなど。

これらの中から自社に合ったものを選ぶ必要がありますが、
「どれを選べばいいのかわからない」という声をよくいただきます。

間違った選び方をしてしまうと、不要に高いレベルの規格を取得し、現場が疲弊するケースも多々あります

今回は、代表的な規格を難易度やおすすめ度に分けて整理してみました。


各HACCP規格の特徴とおすすめ度

① JFS-B(難易度:★☆☆)

日本国内で最も取得しやすい規格。
これまで認証経験のない企業の第一歩として最適です。

  • 特別な設備投資も不要

  • 書類作成や衛生管理の基本さえできていれば取得可能

  • 海外輸出などがなければ、十分な水準

現場の負担も少なく、片手間で管理できるレベル感が特徴です。


② ISO22000(難易度:★★☆)

国際規格ということで知名度はありますが、
現在はあまり選ばれなくなってきている印象です。

理由は、

  • 手間の割に、国際的な信頼度が低い

  • 書類や内部監査の運用コストが重くなる

もしISOを取るくらいなら、JFS-Bで十分なケースがほとんどです。


③ FSSC22000(難易度:★★★)

世界的に最も信頼されているHACCP規格のひとつ。
海外展開や大手流通との取引を考えている企業にはオススメです。

  • 国際団体GFSIに承認されている

  • イオングループなどでも採用が進んでいる

  • 海外バイヤーとの信頼構築には効果絶大

ただし、運用の負担は大きく、1人分の工数が必要になるレベルです。


④ JFS-C(難易度:★★★)

FSSC22000と同レベルの国際認証。
ただし、国際的な知名度はFSSCより劣るため、あまり選ばれていません。

  • 国内企業での活用が中心

  • 海外との取引には不向き

同等の工数をかけるならFSSCを選ぶのが無難です。


⑤ FSMA(難易度:★★★★)

これは「認証」ではなく、アメリカの法律です。
アメリカに食品を輸出するには、この**FSMA(食品安全強化法)**をクリアする必要があります。

特に以下のような食品を扱う場合は要注意:

  • タンパク質系食品(肉・魚など)

  • 水分活性の高い食品(冷凍、惣菜など)

アメリカに輸出を考えている方は、FSSC22000に加え、FSMA対応も視野に入れる必要があります。


規格選びの基本戦略

▶ 初めての方にはこのルートがオススメ!

━━━━━━━━━━━━━━━

  1. まずは「JFS-B」を取得

  2. 必要に応じて「FSSC22000」へレベルアップ
    ━━━━━━━━━━━━━━━

この流れが、負担を最小限に抑えつつ、長期的に使える規格体系を構築できるルートです。


高い規格=良い選択 ではない

注意点として、高レベルの規格を選ぶと維持の負担も比例して増加します

  • JFS-B … 既存の業務と並行して運用可能

  • FSSC22000 … 専任スタッフが1名必要なレベル

せっかく取得しても、「運用しきれず形骸化」してしまっては意味がありません。


まとめ:目的に合った規格を選び、継続可能な体制を

HACCP認証は、企業の信頼性を高め、海外展開や大手流通との取引において大きな武器になります。

だからこそ、自社に合った規格を選び、無理なく維持できる運用体制を構築することが重要です。


次回のブログでは、実際にFSSC22000を取得した食品メーカーさんの「成功事例」もご紹介したいと思っています。

ぜひそちらもお楽しみに。

それではまた。

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