2025.07.16

【美味しく質が高い】ベストな冷凍商品を作る方法

こんにちは、北條です。

今回は、前回のブログ(冷凍食品導入を考えている方向け)でお伝えしたポイントのうち、
「製造工程」について、さらに深掘りしていきます。


前回のおさらい:冷凍食品開発で重要な3つの視点

冷凍食品を開発する際に大切なのは、以下の3点です。

  1. 冷凍食品は高コスト。高粗利な商品設計が必須

  2. 良い機械=美味しい商品、ではない。工程全体の見直しが重要

  3. 製品や目的に合った機械選定が必要

今回は、特に2つ目の「製造工程」にフォーカスします。


美味しい冷凍食品を作るために必要な考え方

結論から言うと、冷凍食品で成功するには

  • 何を冷凍するか(素材の選定)

  • どうやって冷凍するか(工程の設計)

この2点を、商品ごとにトライアンドエラーで突き詰める必要があります。


冷凍に「向いている食品」と「向いていない食品」

食品の性質によって、冷凍の向き・不向きは明確に分かれます。

◎冷凍に向いているもの

  • 水分量が少ない食品(えび、魚、肉など)

×冷凍に向かないもの

  • 水分量が多い食品(レタス、葉物、煮物など)

特に水分が多い食品は、解凍時に水が染み出してしまい、
食感や味が大きく損なわれてしまいます。


「美味しさ」は“工程全体”で守るもの

冷凍食品は、「作って終わり」ではありません。

品質を維持するには、以下5つの工程すべてに注意を払う必要があります。


冷凍食品製造の5ステップ

  1. 素材/前処理

  2. 加熱処理

  3. 凍結

  4. 貯蔵/輸送

  5. 解凍/調理


重要工程①:凍結(Step 3)

美味しい冷凍食品の鍵は「急速凍結」です。

-1℃〜-5℃の間は氷の結晶が最も大きくなりやすく、
この温度帯を30分以内で通過させるのが理想とされています。

このため、優れた冷凍機の導入は必須です。


重要工程②:輸送〜解凍(Step 4〜5)

たとえ工場では完璧な状態で凍結できても、
消費者の元に届くまでの「温度変化」で劣化するケースが非常に多いです。

再凍結により水分が抜け、スポンジ状の食感になってしまうことも。

そのため、冷凍後の流通と再現性まで含めた工程設計が必要です。


解決策:素材と前処理の工夫

冷凍食品開発では、「水分をどうコントロールするか」がとても重要です。

対策例:

  • 水分をあらかじめ飛ばす(脱水・乾燥)

  • 塩漬けや砂糖漬けで水分を置き換える

これらの前処理の工夫で、解凍時の劣化を大きく軽減できます。


「工程×設備」の両輪で考える

良い機械を入れるだけでは不十分です。
逆に、設備に頼らなくても工夫次第で美味しく仕上げることも可能です。

冷凍技術の例:

  • CAS冷凍

  • プロトン冷凍

  • 3Dフリーザー など

目的に応じて、「生産性」「コスト」「品質」のバランスを見ながら選定が必要です。


冷凍以外の選択肢も視野に入れて

冷凍食品には魅力がある一方で、

  • 初期投資

  • 維持コスト

  • 販売ルートの制約

といった課題もついて回ります。

代替手段として有力なのが:

  • レトルト

  • フリーズドライ

です。実はこれらでも、十分「高級路線」が可能です。

たとえば、スープストックトーキョー のように
高級レトルトでブランドを確立している事例もあります。


まとめ:冷凍食品開発は「設計力」が命

冷凍食品を開発する際は、

  • 食材の性質

  • 凍結技術

  • 流通・販売方法

  • 他の加工手法との比較

これらを総合的に判断して、自社に最適な「システム」を構築することが重要です。


弊社では冷凍食品導入の技術支援も可能です

弊社には、元ニッスイの冷凍食品開発エンジニアが在籍しており、
冷凍食品に関する製造プロセスや機械選定のアドバイスも可能です。

中国の大手冷凍食品企業への技術提供実績もございます。

導入をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。


それでは、また次回のブログでお会いしましょう。

お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。