2025.11.03

【M&A詐欺の実態】悪質な買い手に要注意

こんにちは、北條です。

前回は、M&Aにおける「売り手側が悪質なケース」についてお話ししました。
今回はその続編として、「買い手側が悪質なケース」=M&A詐欺についてお伝えします。

昨今、中小企業の間でもM&Aは一般的になってきていますが、
それと同時に、詐欺的なM&A取引も急増しています。

特に今回ご紹介するのは、売却側が信頼して取引を進めた結果、資産を奪われて破産に至った、
非常に悪質なM&A詐欺の実例です。

これからM&Aを検討している方には、ぜひ最後までお読みいただきたい内容です。


M&A詐欺とは?買い手に仕掛けられた巧妙な罠

M&A詐欺とは、表面的には事業承継や企業成長の手段を装いつつ、
実際には相手企業の資産を奪うことを目的とした悪質な取引です。

最近では、特に**「買い手側」が詐欺を仕掛けるケース**が増えており、
中小企業経営者にとって非常にリスクの高い局面が増えています。


実際に起きた「買い手に騙された」悲劇の事例

私の知人である、ある衣料品メーカーの経営者のケースをご紹介します。
非常に真面目で誠実な方です。

その方は、銀行の紹介でM&Aの話を受け、会社を売却することに。
買い手側とも何度も面談を重ね、信頼関係を構築した上で契約に至りました。

しかし、悲劇はここからです。


契約後、会社の資産を奪われ連絡が取れなくなる

買収が成立した直後、買い手となった人物は会社に残っていた資金をすべて引き出し
そのまま音信不通に。

しかも、最悪だったのは、個人保証の解除前だったこと。

その結果、残された多額の負債が売り手側に残り、破産に追い込まれてしまいました。

誠実に事業をしてきた社長が、最後に全てを失うという、あまりにも理不尽な結末です。


なぜこのような詐欺が起きてしまうのか?

この手のM&A詐欺でよく見られる構図は、以下の通りです。

  • 買収後、会社の資産(現金や設備)を抜き取る

  • 個人保証の引き継ぎ前に逃げる

  • 会社は倒産、負債は売り手に残る

さらに悪質な場合、買い手が計画的に仕掛けてくるケースもあります。


仲介会社にも注意が必要

もう一つの落とし穴が、「M&A仲介会社のいい加減な対応」です。

仲介業者の中には、成約することが目的化しており、
契約成立後のトラブルやリスクについて無関心なケースもあります。

報酬を得るために、

  • 相手企業の本質的なリスクを伝えない

  • 必要なデューデリジェンスを省略する

  • 買い手を無条件で「良い会社です」と紹介する

といった対応をされることも。

そのため、仲介業者にすべてを任せるのではなく、自ら慎重に調査する姿勢が重要です。


増加するM&A詐欺にどう対抗するか?

以下のような対策を講じることで、M&A詐欺のリスクを軽減できます。


✅ チェックすべきポイント

  • 買い手企業の実態や財務状況を第三者機関で精査する

  • 個人保証の解除は売却後できるだけ早く行う

  • 譲渡前に資産の移動が起こらないよう契約書で規定する

  • 弁護士・会計士と連携し、法務・税務リスクを明確にしておく

  • 売却後も一定期間モニタリングする条項を設ける


まとめ:M&Aは「信頼」よりも「仕組み」で守る

今回のケースは非常に極端な例かもしれませんが、
中小企業を取り巻くM&A環境ではこのような事件は決して珍しくないのです。

「何度も会って信頼関係ができていたから大丈夫」
「紹介元が銀行だから安心」

というような考えは、今の時代では通用しません

M&Aは本来、事業拡大や承継において大きな力を持つ戦略です。
だからこそ、そのチャンスを最大限に活かすためにも、
相手の本質と契約内容を徹底的に確認し、リスク管理を怠らないことが重要です。

もしご不安やお悩みがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。

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