2025.11.05

既存のお客さんを軽視する危険性

こんにちは、北條です。

突然ですが、
御社では「新規の取引先」と「既存の取引先」、どちらに力を入れていますか?

多くの企業は新規顧客の獲得に力を入れる一方で、既存顧客を軽視してしまう傾向があります。
なぜなら、既存顧客からの売上は「当たり前の収益」と見なされがちだからです。

しかし、それが思わぬ落とし穴になることもあるのです。

今回は、「既存顧客軽視による損失」について、実際の事例をもとにお伝えしたいと思います。


ケース1:食品機械メーカーの失敗事例

ある食品機械メーカーは、長年取引していた代理店A社から
「こんな機能が欲しい」「ここを改善してほしい」といった要望を繰り返し受けていました。

しかしメーカー側は、その要望を一切受け入れずにスルーし続けます。
おそらくコストが増えることを懸念したのでしょう。

▷ その結果…

数年後、代理店A社は自社で機械の製造を開始
しかも、機能面でも改良された高性能な機械はメディアでも話題となり、爆発的にヒットしました。

結果、元の機械メーカーは売上が半減。
まさに“業界内のポジションを奪われる”事態に陥ったのです。

もし最初に「専用モデル」の共同開発などで対応していれば、
代理店A社を囲い込むことができ、安定した売上を確保できたはずです。


この事例から得られる教訓

顧客は日々成長しています。
それに伴い、要望も変化し、要求のレベルも上がっていきます。

にもかかわらず、多くの企業は「慣れ」や「驕り」から改善を止め、
目先の新規顧客にだけ目を向けてしまいがちです。

しかし、それは結果的に競合に抜かれるリスクを高める行為です。


ケース2:中国企業との合弁話を断ったことで、年間1億円の売上を失った事例

とある食品メーカーでは、中国企業から合弁の提案を受けました。
しかし、技術流出のリスクを懸念し、この話を断ります。

するとその中国企業は自社で工場を立ち上げ、
独自に事業を展開し始めたのです。

結果として、元の日本企業は年間1億円超の売上を喪失
技術の囲い込みは大事ですが、相手のニーズを無視するリスクも同時に存在するという教訓です。


まとめ:利益よりも信頼と戦略が大事

2つのケースに共通しているのは、

  • 相手の要望を軽視したこと

  • 目先の利益を優先したこと

  • 現状に甘んじたこと

これが長期的な損失を招いたという点です。


「楽に儲けている」と感じたときが危険信号

私自身の経験としても、「この取引先は楽に利益が出るな」と感じたときほど危険です。

なぜなら、

  • コストをかけずに儲かっている

  • 相手からの不満が高まりやすい

  • 新しい提案や改善を怠っている

という状態になっているからです。

そういった**“美味しい取引先”こそ、ある日突然他社に切り替えられる可能性**が高いのです。


戦略的な囲い込みと丁寧な関係性が、最大の防御策

今一度、以下のポイントを意識してみてください。

  • ✅ 既存顧客の声に耳を傾けているか?

  • ✅ 長期的な関係構築に取り組んでいるか?

  • ✅ 自社の“驕り”が出ていないか?

既存のお客様こそ、戦略的な囲い込みが必要であり、
「慢心」こそが最大のリスクです。

ぜひ、日々の営業や開発の中でも、
「既存顧客への対応」を改めて見直すきっかけにしていただければ幸いです。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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