こんにちは、北條です。
これまでの記事でもたびたびお話ししてきた「第二創業」というテーマ。
経営者として新たなビジネスを立ち上げるというのは、事業継続や成長のために重要な視点です。
また、後継者育成の観点でも、「自分の力で新しい事業を立ち上げさせる」という経験は非常に価値があります。
しかし最近、いろんな話を聞く中で、第二創業がうまくいかないケースも増えていると感じています。
今回は、失敗する人・成功する人の違いを、僕自身の経験も交えてお話ししたいと思います。
食品業界ではありませんが、あるメーカーで三代目がコンサルティング事業を立ち上げたケースがあります。
その方は、大手コンサルファームに20年近く勤めたエリート。
しかし、戻った家業での第二創業はどうも結果が出ていない様子。
ホームページやブログの更新も2年前で止まり、活動は停滞しているように見えます。
この事例から見える、失敗しやすい要因は何か。
僕なりに見えてきたのは、以下の点です。
家業が地味な業界であればあるほど、「もっとカッコいいことがしたい」という欲求が生まれます。
そこで**高単価でスマートに見える新規事業(例:コンサルティング)**を始めたくなるのです。
しかし、地に足をつけずに理想だけで突っ走ると、うまくいかない。これは僕自身も経験済みです。
僕が31歳で家業に戻った頃、同じように第二創業を試みて、いくつも失敗を重ねてきました。
最もよくあるのが、既存事業の社員を新規事業にそのまま使おうとすること。
一見すると管理部門の共用など効率的に見えますが、これは大きな落とし穴になります。
たとえば茜丸(製餡・和菓子メーカー)では、求められる人材はこんなタイプです。
暑い中でも黙々と働ける真面目さ
誠実で責任感のある性格
基本的なPCスキルがあれば十分
しかし、コンサルティング業では…
会計・原価管理の知識
エクセル・パワポの高度スキル
プレゼン力とメンタルの強さ
まったく異なる資質が必要になります。
たとえば、茜丸の社員を無理やりコンサル事業のアカネサスに異動させたら?
スキルも志向も合わず、本人も辛いし、成果も出ません。
さらに…
高単価事業は給与水準も高くなる
評価基準も既存事業とは異なる
こうなると、社内に不公平感や軋轢が生まれやすくなります。
一番最初に検討すべきことは、
「この新規事業を、既存社員で回せるのか?」
という視点です。
もし回せるなら、社内で立ち上げることでコストを抑えつつシナジー効果も期待できます。
しかし、回せないのであれば、同じ屋根の下に異質な文化を混ぜるのは非効率で、リスクも高いです。
だからこそ、2021年にコンサルティング会社「アカネサス」を立ち上げたときは、茜丸のリソースは一切使わず、完全に別で立ち上げました。
最初は自宅の一室からスタートし、今では大阪・阿倍野のオフィスで10名のスタッフと運営しています。
なぜそこまでする必要があったのか?
それは「異なるビジネスは、異なる土壌が必要」だと強く感じていたからです。
第二創業には、次の3つのタイプがあります。
商品は同じ、販路が違う
販路は同じ、商品が違う
商品も販路も全く別の事業
このパターンなら、社内リソースを活用することに無理がありません。
例)茜丸の「あんこ通販事業」は社内で展開。
既存の人材・知識がそのまま活かせます。
僕が立ち上げたアカネサスのように、既存事業と何の関係もない事業をやる場合は、外部に新たなチームを作って始めるべきです。
手間もコストもかかりますが、結果として成功確率が圧倒的に高くなります。
ちなみに、アカネサスの前に
カフェ事業(小規模ながら黒字化するもスケールせず終了)
キッチンカー事業(売上立たず1,000万円損失で撤退)
という失敗も経験済みです。
でもその失敗を経て、ようやく「どういう形で第二創業をやるべきか」が明確になりました。
第二創業で成功するには、
社内で回すのか、社外でやるのか
既存の人材でいけるのか、専用に採用するのか
など、構造をしっかり設計して始めることが重要です。
「なんとなく良さそうだからやってみる」では、痛い目を見ます。
第二創業は、確かに夢のあるチャレンジです。
でも、既存事業と違うことをやるなら“別土壌”でやる覚悟が必要です。
ただし、ゼロからの起業とは違い、業界の人脈や経営ノウハウがある分、第二創業は普通の起業より成功確率が高い。
だからこそ、正しく設計すれば大きな武器になります。
ぜひ、これから挑戦する方は参考にしてみてください。
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