こんにちは、北條です。
前回の記事では、
「経営理念は時代によって変化すべき」というお話をしました。
多くの食品メーカーの創業当初の経営理念は、昭和の日本における課題、
つまり「いかに国民に栄養を供給するか?」というものでした。
しかし時代は令和となり、今では「健康」や「持続可能性」といったテーマへと移り変わっています。
このように理念が時代に合わせて変わるのなら、
当然、会社の事業も変化していく必要があるのです。
後継者の方々は、つい「事業を継ぐ」と考えてしまいがちです。
ですが、これからの時代に求められるのは、
「会社という器を活かして、新しい価値を生み出す」こと。
つまり、「会社を継ぐ」思考です。
たとえば、新潟にあるお米屋さん。
創業当初は米だけを扱っていましたが、
時代に合わせて和菓子や餅の製造にも取り組み、事業を変化させてきました。
これは、
時代が変わると、理念も変わり、
理念が変われば、事業も変わる
という自然な流れです。
これまで何度かお伝えしてきましたが、
2代目・3代目の経営者に求められているのは、まさにこの部分です。
時代に合った新しいことを始めること
これが使命であり、生存戦略でもあります。
では、その「新しいこと」は、どう始めたら良いのでしょうか?
事業を始めるには、大きく分けて2つのパターンがあります。
0→1:ゼロから新たなビジネスを立ち上げる
1→10:すでにある事業を拡大・発展させていく
これまでのブログでは「0→1」の話をしてきましたが、
今回は「1→10」にフォーカスしてお伝えします。
世の中の経営者には、
新しいビジネスを生み出すのが得意な人
既存の事業をうまく伸ばすのが得意な人
の2タイプがいます。
「新しいことに挑戦したいけど、ゼロからはちょっと…」という方には、
M&A(企業買収・事業承継)という選択肢があります。
最近では、中小企業同士のM&Aが非常に活発になってきました。
一定の資金は必要ですが、ゼロから始めるよりも成功確率は高く、
挑戦のハードルが低いのも魅力です。
M&A市場での企業価格の目安として、
「EBITDA(イービットディーエー)」という指標があります。
EBITDA=営業利益 + 減価償却費
このEBITDAの5倍程度の価格で取引されるのが一般的です。
たとえば、EBITDAが2,000万円の企業であれば、
おおよそ1億円で買える、というイメージです。
特に食品メーカーのような安定業種では、
5倍でも割安とされるケースも多く、実際にはもっと高値で取引されることもあります。
業種によっても評価は変わります。
B2C事業(一般消費者向け):異業種からの買収ニーズが高く、割高で取引される傾向
B2B事業(法人向け):内部構造の分かりづらさから、割安になりがち
M&Aの世界では、こうした業種ごとの価値観も重要な判断材料になります。
ここでとても大事なポイントをひとつ。
安くても悪い事業を買ってはいけない
これは鉄則です。
一見お得に見えるM&Aでも、買収後に手間やコストがかかりすぎて、
かえって大きな損失を生んでしまうケースが少なくありません。
とくに中小企業の場合、経営者のリソースは限られています。
再建に労力を割かれてしまうと、本来やるべき事業拡大や成長戦略に時間が使えなくなってしまいます。
では、どうすればM&Aで“当たりの案件”に巡り会えるのでしょうか?
この点については、次回のブログで詳しくお伝えしていきます。
それではまた。
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