こんにちは、北條です。
「値上げしたいけど、値上げが怖い」
そんなふうに感じている方は、実はとても多いのではないでしょうか。
ニュースを見ていても、セブンイレブンなどの大手が値上げによって売上を落とした事例がよく取り上げられています。
しかし、私はこの状況を「致し方ない」と思っています。
なぜなら、日本ではそもそも“値上げをしても利益が出にくい構造”になっているからです。
本日は、その理由と今後取るべき戦略についてお話ししたいと思います。
まずお伝えしたいのは、経営戦略において「マクロなデータ」を元に意思決定を行うことの重要性です。
私のブログではこれまでも、統計的なデータを元に日本市場の将来性についてお伝えしてきました。
中小企業は、原則として「マクロの流れに逆らってはいけない」。
時流
トレンド
社会全体の動き
こうした大きな潮流に反した戦略を取ってしまうと、限られた資金と人材しかない企業にとっては致命的なリスクになります。
一方で、マクロの流れに沿った戦略をとることで、少ない労力で効率的な経営が可能になるのです。
たとえば、「高いものが売れている」というニュースを見て、それを鵜呑みにして戦略を決めてしまうのは危険です。
地域性や市場特性を無視した判断は、特に地方の企業にとって誤った経営判断につながる可能性があります。
だからこそ、客観的なマクロデータから状況を読み解く視点が必要なのです。
では本題に入りましょう。
日本では、なぜ値上げしても売上や利益が伸びないのでしょうか?
答えのひとつが、「貧困率の高さ」にあります。
OECDの2021年の調査によると、日本の相対的貧困率は15.4%で世界11位。
先進国の中でもトップクラスの高さです。
「相対的貧困率」とは、同じ地域の人と比べて生活水準が著しく低く、不安定な生活をしている人の割合を示します。
たとえば:
冷蔵庫や洗濯機が買えない
修学旅行に行けない
冠婚葬祭などの集まりに参加できない
こうした生活を余儀なくされている方々の割合です。
この貧困率上昇の最大の要因は高齢化です。
年金で生活する高齢者が急増する中、高額商品が売れにくくなっているのは明白です。
つまり、今後の日本市場においては、高付加価値の商品よりも「低価格な商品」が求められる傾向が強まっていくと考えられます。
では、今後の経営戦略として、どのような方向性をとるべきなのでしょうか?
答えは、次の2つの戦略です。
これからの日本は、スイスやアメリカのような先進国ではなく、中進国的なポジションに移行していく可能性が高いと考えられています。
そのような中で、年商10億円〜20億円を維持しようとするなら、
「多品種少量生産」ではなく「少品種大量生産」
を目指すべきです。
具体的には:
生産コストを下げる
生産量を増やす
スーパーやコンビニなどの大手と取引する
こういった方向に戦略を切り替えていく必要があります。
低価格で大量販売できるビジネスモデルが、今後の国内市場では主流になっていくでしょう。
2つ目の戦略は、高付加価値な商品は「海外向け」に売るということです。
たとえば、イタリアの食品企業などは、海外の高単価市場を狙って商品展開をしています。
日本でも同様の動きがあります。
中東では、「ヨックモック」のお菓子が1箱2万円以上でも売れるほどの人気を誇っています。
最近では、1本10万円で売れている超高級ドレッシングも登場。
器に有田焼を使用し、デザインとストーリーで付加価値を高め、海外市場で成功を収めています。
今後の企業経営では、
国内では「商品点数を絞り、コストを抑えて効率化」
海外では「付加価値を最大化し、高単価で販売」
このように戦略を分けて考えることが非常に重要です。
日本国内においては、値上げが難しい土壌がすでにできてしまっているのが現実です。
しかし、だからといって高付加価値戦略を諦める必要はありません。
大切なのは、「その商品をどこで売るか?」という市場選定の視点です。
これからの時代、「戦う場所を選ぶこと」が、経営者の最も重要な仕事になるでしょう。
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