2026.02.04

社員全員が辞めた日、ようやく“経営”が始まりました

こんにちは。
アカネサス代表の北條竜太郎です。

今回のシリーズテーマは
「再設計する経営──“社長であること”の呪縛を超えて」

私が日々、経営の現場で試行錯誤している中で見えてきた、
「会社をどう再構築するか」というテーマを、3回に分けてお伝えしていきます。


「正しい経営」ではなく、「やり直せる構造」を探している

今回お話しする内容は、
「経営の正解」や「成功哲学」ではありません。

私自身も、経営者として何度も迷い、壊れ、やり直してきました。
その過程で出会った、“経営をやり直せた社長たち”の共通点を、
一つの“構造”として言語化していく試みです。

その中でも特に印象的だった、
**「一度、すべてが崩れた会社の社長が再起した話」**を、今回は紹介します。


ある広告代理店の社長に起きたこと

この話は、私が直接伺った実話です。

2回目の起業から10年、社員も増え、売上も右肩上がり。
外から見れば順調そのものでした。

ところが、ある日。
一人の社員が辞めると言い出します。

最初は「そういうこともある」と受け止めていたものの、
数週間のうちに退職者が続き、
3ヶ月後には、全社員が会社を去っていた。


「何が起きているのか、わからなかった」

「売上はありました。案件もありました。
でも、会社が止まりました。」

そう語る社長の表情は穏やかでしたが、
その奥にある“静かな痛み”が印象的でした。

会議をしても、声が響かない。
メールを送っても、反応がない。

──気づけば、組織全体が沈黙していたのだそうです。

「もしかして、自分が全部抱えていたから、
会社が“回っていたように見えていただけ”だったのではないか。」

そう気づいたときには、
すでに気力も体力も尽きかけていたといいます。


「才能がない」と思い込んだ2年間

その後2年ほど、社長は半ば“抜け殻”のような状態に。
業務はこなしても、心が動かない。

「自分には経営の才能がなかったのかもしれない」
そう思いながらも、会社をたたむことだけはしなかった。

理由はひとつ。
「この経験を、もう一度やり直して証明したい」と思ったからです。


20社以上に相談しても、見えなかった“全体像”

再起をかけて、彼は20社以上の専門家に相談しました。

採用支援、IT改善、組織開発、コンサルティング──。
どの話も「正しい」。
けれど、どれも“全体の設計図”にはならなかった。

「それぞれの助言は間違っていない。
でも、会社の全体像が見えてこないんです。」

この言葉は、私の中にも深く残りました。


「経営の設計図」が、最初からなかったのではないか

最終的にその社長がたどり着いた結論が、こちらです。

「自分のやり方が間違っていたのではなく、
そもそも“経営の設計図”がなかったのではないか。」

この一言には、強いリアリティがあります。

多くの経営者が、会社を「続けて」はいる。
しかし、「どう動かしていくか」という構造設計図
持っていないケースが驚くほど多いのです。


次回予告:「社長をやめる」という再設計

今回のシリーズでは、
この社長がそこからどう“社長をやめ”、
構造を再設計していったのか
を3回に分けて追っていきます。

次回の第2話では、
実際にその社長が手放した「経営権」と「肩書」について、
そしてそこから見えてきた“会社の新しい形”についてお話しします。

それでは、次回。


北條竜太郎
アカネサス株式会社 代表

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