こんにちは。
アカネサス代表の北條竜太郎です。
今回は、シリーズテーマ
「海外輸出を成功させるための思考」
について3回に分けてお届けします。
経営者として、また構想を生み出す立場として
私が常に意識していることがあります。
それが、
「構想を持つ人間こそ旅に出るべきだ」
という考え方です。
もしあなたが「輸出事業を成功させたい」と思うなら、
**旅という“入力”**を避けて通ることはできません。
机上で資料を読んで得られる知識と、
現地で写真を撮り、スタッフから説明を受ける体験。
この2つは、まったく異なる学びです。
たとえば私は、
香港・シンガポール・バンコク・クアラルンプールなど
東南アジア各地で数十回にわたり
食品輸出の支援や市場視察に携わってきました。
その中で確信したのは、
「行っていない人は、ほぼ確実にズレる」
という現実です。
そして厄介なのは、
そのズレに自分で気づけないことです。
ある日本の食品メーカーは、
「常温で扱える小規模商品」で勝負しようとしました。
ところが実際に出してみると、
現地では冷凍一括管理でなければ取引できないという事実が判明。
結局、設計も物流もすべてやり直しに。
現地を見ていれば、
そもそも「常温で出す」という発想自体が
立たなかったはずです。
日本側は「高くて売れないのでは」と思い込みがちです。
しかし、たとえば香港のWellcomeでは
日本産サーモン寿司セット(8貫入り)が38HKD=約760円。
一方で、別のスーパーでは
日本製の枕干しサーモンが“高すぎてスルー”される。
この差は品質の問題ではなく、
**「どのシーンで、誰がどう使うか」**という現場文脈の差です。
たとえばマレーシアのVillage Grocerでは、
冷凍鍋セット(味噌スープ+野菜+団子)がRM18.9(約600円)。
ここでは「簡便・安心・ハラル基準」が選ばれる軸。
「高付加価値=日本らしさ」で勝負すると外す典型例です。
「常温で出したい」「レトルトで出したい」と
日本企業はよく言います。
しかし現地のスーパーでは、
最も目立つ売り場(スタメ)は冷凍コーナー。
冷蔵ですら運用できる店舗は限られ、
冷凍が“オプション”ではなく“前提”になっています。
輸出を進めると、バイヤーから
「このカテゴリはもう埋まっています」
という一言で終わるケースも珍しくありません。
カテゴリに1社しか枠がないなら、
そこに入るということは“誰かが落ちる”ということ。
この現場の競合密度を身体で理解しているかどうかが、
採用される商品の設計に直結します。
このように、構造を知らずに
「価格」「見た目」「ブランドイメージ」だけで判断しても、
現地ではまず埋もれます。
一方で、現場を見た人は
“構想のフレーム”が半年で更新される。
半年後、
現場を見た人と見ていない人では、
出せる提案の解像度がまったく違うのです。
海外輸出の第一歩は、
情報収集ではなく現場での観察です。
旅は、構想を支える“入力”。
構想の精度は、旅の質で決まります。
次回は、
私がこれまで見てきた海外市場の実例をもとに、
「なぜ今、ASEAN市場がラストチャンスなのか」
を解説します。
どうぞお楽しみに。
北條竜太郎
アカネサス株式会社 代表
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