2026.05.11

語れる二代目、語れない三代目──継がれたのは構想ではなく構造だった

こんにちは。
アカネサス代表の北條です。

今回から3回にわたり、
「事業承継」に関する構造について考えていきます。

多くの企業で世代交代が進むなか、
承継がうまくいくケースと、
そうでないケースの差はどこにあるのか。

その背景には、
**世代ごとに異なる「判断の構造」**が存在しています。


二代目と三代目の間にある構造的な差

二代目と三代目のあいだには、
ある決定的な違いがあります。

それは、

「判断の余白」があるかどうか

です。

二代目は、創業者と直接ぶつかる経験を持っています。

判断に迷い、
試行錯誤し、
時には納得できずに独自の選択をする。

そうした葛藤の中で、
自分の判断を作っていく余地があるのです。

しかし三代目が引き継ぐのは、
すでに制度化・合理化された事業構造です。

  • なぜこの業界なのか

  • なぜこの商品なのか

そうした選択は、
すでに過去に決められている。

三代目に期待されるのは、
それを問い直すことではなく、

「維持すること」

になりやすいのです。


私自身の背景

私はもともと、
製餡業・和菓子業(どらやき)の家に生まれました。

祖父・北條勝義が創業し、
叔父が二代目、
父が三代目。

もし私が継いでいれば、
四代目という立場になります。

しかし実際には、
会社を継ぐ道は選びませんでした。

代わりに、
自分で会社を設計しました。

それが
アカネサスです。

背景には、
団塊ジュニア世代による
事業承継ラッシュがあります。

和菓子業界を含む食品製造業では、

  • 老朽化した設備

  • 後継者問題

  • 工場再構築

といった課題が、
これから一気に表面化すると考えました。

そこで私は、

食品メーカーに特化した支援モデル

を組み立てることにしたのです。


継ぐ側の構造を外から見たとき

このように
「再設計する側」に立ってみると、

かつての自分──

継ぐことが前提だった四代目

という立場が、

いかに
判断の自由を失いやすい構造
だったのかが見えてきました。

社員、取引先、仕入れ、営業。

そのすべてが
すでに用意されている。

つまり、

「選択せずに運転できる構造」

の中にいたのです。

確かにその構造は合理的です。

製品も、
人材も、
流通も、

すべてが

「このままでいい」

ように最適化されています。

その枠の中では、
問題なく経営を続けることもできます。

しかし同時に、

新しい判断は生まれにくい。

という側面も持っています。


構想とは「判断の起点」を取り戻すこと

だからこそ私は、

構想とは何か

という問いを、
次のように捉え直しています。

構想とは、

判断の起点を自分のものとして再取得する行為

です。

承継とは、
単に会社を引き継ぐことではありません。

本質は、

  • どの構造をそのまま使うのか

  • どこから自分で設計し直すのか

を決められる状態に
立ち直ることです。

もしその自由がなければ、

どれだけ立派な事業であっても、

判断停止したまま維持される組織

になってしまいます。


次回予告

次回は、

「判断を持てなくなった承継者たち」

というテーマで、

承継者が判断の起点を失ってしまう
5つの構造パターンを整理します。

なぜ意思決定が弱くなるのか。
その仕組みを解剖していきます。


── 北條竜太郎

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