こんにちは。
アカネサス代表の北條です。
今回は、信用情報機関(TSR)の実データを集計した
**「食品業界ビッグデータ分析」(全9回)**の第5回をお届けします。
第1回で示した通り、食品メーカーの中央値は以下の通りです。
従業員1人あたり売上高:約2,173万円/人
営業利益率:1.0%
自己資本比率:30.2%
つまり、平均的な食品メーカーは
「1人あたり年間2,000万円強を売り、利益1%、資本30%台」
という、非常に脆弱な構造の上に成り立っています。
この基準点を踏まえ、今回は
**「地域差」**という視点から食品業界を読み解きます。
まずは、TSRデータから地域ごとの財務特性を見ていきます(中央値)。
売上:3.8億円
利益率:1.31%
自己資本比率:25%
→ 規模と利益率は比較的高いが、借入依存で脆弱
売上:2.6億円
利益率:0.54%
自己資本比率:24%
→ 震災融資と人口減の影響で最も脆弱なゾーン
売上:5.0億円
利益率:1.12%
自己資本比率:31%
→ 規模は最大だが、競争激化による薄利市場
売上:3.2億円
利益率:1.12%
自己資本比率:34%
→ OEM中心のバランス型
売上:4.0億円
利益率:0.97%
自己資本比率:35%
→ 厚資本のブランド企業が支える強者ゾーン
売上:2.8億円
利益率:0.80%
自己資本比率:27%
→ 規模・収益ともに小さく、構造的に脆弱
売上:3.2億円
利益率:0.99%
自己資本比率:26%
→ 全国平均に近いが、承継難で縮小均衡
次に、売上成長率(前期→当期)から、
地域ごとの勝ち筋を見ていきます。
飲料(+6%)
惣菜・冷凍調理(+4%)
水産加工(+3%)
→ 水産に加え、飲料市場が伸長
惣菜・冷凍調理(+3%)
水産加工(+0.5%)
→ 冷凍・レトルトが数少ない成長軸
外食(+9%)
惣菜・冷凍調理(+3%)
飲料(+3%)
→ 都市圏は外食・飲料・中食が主戦場
惣菜・冷凍調理(+7%)
飲料(+1.5%)
→ OEM基盤+冷凍加工が成長
惣菜・冷凍調理(+12%)
飲料(+4%)
→ 全国トップの成長率。冷凍・惣菜の中心地
外食(+8%)
惣菜・冷凍調理(+7%)
飲料(+1%)
→ 外食と中食が同時に成長
惣菜・冷凍調理(+6%)
水産加工(+1%)
→ 冷凍+水産の二軸構造
今回の分析から見えてくるのは、明確な構造です。
惣菜・冷凍調理は、すべての地域で成長
(特に近畿では+12%と突出)
外食・飲料が伸びる“川下主導型市場”
水産+冷凍の“加工型産業”が中心
食品業界の未来を読むには、
全国共通の基準
→ 売上3〜4億/利益率1%/資本30%
に加えて、
地域ごとの勝ち筋カテゴリを把握すること
が不可欠です。
同じ食品メーカーでも、
「どこで戦うか」によって結果はまったく変わる
ということです。
第6回は、
「社長の趣味と業績」
という、一見無関係に見えるテーマを扱います。
データが示す、意外な相関を読み解いていきます。
── 北條竜太郎
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