2026.07.15

不安から抜けるために 【4】 不安に飲まれない経営者の習慣【全6回】

こんにちは。
アカネサス代表の北條です。

これまでの回では、

  • 第1回:「未来の不安は過去の影」

  • 第2回:「脳は不安を増幅させる」

  • 第3回:「失敗を資産に変える」

についてお伝えしてきました。

今回は第4回──

「不安に飲まれない経営者の習慣」

をテーマにお話しします。


危機の瞬間に問われるのは「情報量」ではない

経営者は、常に情報にさらされています。

  • ニュース

  • 社員の声

  • 顧客の反応

  • 金融機関からの連絡

しかし、いざ危機に直面したときに問われるのは、

情報の多さではありません。

重要なのは、

不安に陥ったとき、そこからどう心を戻せるか

です。


不安は「未来を想像する力」から生まれる

不安とは、

まだ起きていない未来を、頭の中で拡張すること

です。

例えば、

  • 「資金が尽きるのではないか」

  • 「幹部が抜けて組織が崩れるのではないか」

  • 「取引先が契約を打ち切るのではないか」

これらはすべて、

現時点では“事実”ではなく、“想像”です。

しかし、この想像に飲み込まれた瞬間、

経営判断は歪みます。


不安を消す必要はない

「今ここ」に戻ることがすべて

不安は消せません。

だからこそ必要なのは、

不安を消すことではなく、そこから戻ること

です。

つまり、

  • 【未来】に引きずられるのではなく

  • 【今この瞬間】に意識を戻す

この習慣こそが、経営を守ります。


実務で起きた3つの瞬間

① 金融交渉:一度の深呼吸が会社を救った

資金ショート寸前で銀行に駆け込んだとき、
担当者の一言に動揺し、判断が揺らぎました。

あのまま焦りに任せて条件を呑んでいれば、
会社は確実に詰んでいたと思います。

そのとき私を救ったのは、

情報ではなく、たった一度の深呼吸でした。

  • 「今、数字はどうか」

  • 「今、打てる手は何か」

“今ここ”に戻った瞬間、
交渉の主導権を取り戻せました。


② 災害対応:冷静さが組織の空気を変える

地震で工場が止まったとき、
現場には一気に動揺が広がりました。

このとき、

トップが乱れれば、組織は一瞬で崩れます。

私はまず呼吸を整え、

  • 「人命は守られているか」

  • 「復旧の優先順位は何か」

と「今」に戻り、指示を出しました。

すると、不思議なほど現場の空気が落ち着いた。

冷静さは伝染します。


③ 幹部離職:最悪の未来から目を外す

信頼していた幹部が突然退職を申し出たとき、
頭の中には「組織崩壊」の映像が流れました。

しかしここでも、一度立ち止まりました。

  • 「残る人材は誰か」

  • 「今ある体制で何ができるか」

未来ではなく「現在」に目を戻したことで、
組織を再編し、結果としてより強い体制を築くことができました。


結論:経営者の仕事は「心を戻すこと」

危機に飲まれる経営者は、
会社ごと沈みます。

一方で、

未来への不安から「今ここ」に戻れる経営者は、
会社ごと生き延びる。

この差は、能力ではありません。

習慣です。


今日からできる3つの習慣

シンプルですが、効果の高いものだけを挙げます。


① 夜、3回深呼吸する

「今日もここまで来た」と確認する


② 会議・交渉前に一瞬止まる

机に手を置き、「今ここ」と心で唱える


③ 1日の終わりに一行書く

「今日のベスト判断は何だったか」


これだけで、

不安に飲まれる頻度は確実に減ります。


次回予告

次回は、

「未来は一つじゃない:複数シナリオの経営術」

不安の正体は、

「未来を一つに固定してしまうこと」

です。

複数の未来を持つことで、
視界を広げる方法を解説します。


編集後記

倒産・破産を経験して分かったことがあります。

不安は消えません。

しかし、

不安に飲まれない状態はつくれる。

金融交渉でも、
災害でも、
幹部の離職でも──

崩れるか、生き残るかは、

「その瞬間に戻れるかどうか」

でした。

呼吸と習慣だけで、
経営の安定性は大きく変わります。


── 北條竜太郎

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