こんにちは。
株式会社アカネサスの北條です。
本日から全9回にわたり、食品業界の皆さまにぜひ知っていただきたいテーマについてお届けします。
2025年6月、東京ビッグサイトで開催されたFOOMA JAPAN。
私は会場で、ある光景を目の当たりにし、しばらくその場を離れることができませんでした。
ロボットアームが、ひじき煮をトレイへ盛り付けていたのです。
ポテトサラダ。
きんぴら。
白和え。
私はその前で約5分間、立ち尽くしていました。
隣に立っていた見知らぬ工場長も、同じように黙って見つめていました。
二人とも、何も言葉が出なかったのです。
私がその場で動けなくなったのは、感動したからではありません。
むしろ逆でした。
「ついに、この技術が中小の食品工場にまで降りてきた」
その事実に恐怖を覚えたのです。
私が見ていたのは、コネクテッドロボティクスのブースでした。
ロボットが扱っていたのは、不定形の惣菜です。
形がバラバラ。
重さも一定ではない。
柔らかく崩れやすい。
食品工場では長年、
「これだけは機械に置き換えられない」
と言われ続けてきた工程です。
しかし、そのロボットは1時間あたり400食を、重量精度±4〜7グラムという精度で黙々と盛り付けていました。
さらに、キャスター付きで1人でも移動可能。
既存ラインへそのまま設置できます。
すでにマックスバリュ東海の惣菜工場へ4台導入済み。
経済産業省のロボット大賞も受賞しています。
担当者はこう話しました。
「中小規模の工場でも十分ペイします」
私は一度ブースを離れました。
しかし、どうしても信じられず、再び戻って確認しました。
「本当に現場で使えるんですか?」
担当者は笑顔で答えました。
「本当です」
衝撃はそれだけではありませんでした。
アールティのブースでは、フライヤーへの冷凍食品投入を自動化するロボット「minite」が展示されていました。
高温環境。
油煙。
やけどリスク。
食品工場でも特に過酷な工程の一つです。
価格は約800万円(税別)。
しかし補助金を活用すれば、実質負担は半額以下になる可能性があります。
さらに山善の「YZ-ROUND-SCAN」。
特殊レンズとAIを組み合わせ、1台のカメラで360度全周を検査します。
これら4項目を1台で検査でき、従来比40%の省スペース化も実現しています。
そして別のブースでは、大阪王将の事例を耳にしました。
AI画像検査システムを導入した結果、
1パック12個入りの餃子を1秒で検品できるようになり、生産量が2倍になったというのです。
人間なら何十秒もかかる検査が、AIには0.1秒もかかりません。
FOOMA2025のスタートアップゾーンには30社が出展していました。
そのうち18社がAI・IT・IoT関連企業。
全体の60%がデジタル技術系企業です。
出展社数は過去最多の1,007社。
来場者数は4日間で110,827人。
海外からの来場者も4,569人に達しました。
5年前のFOOMAとの大きな違いは何か。
それは、
「機械を売る会社」と「ソフトウェアを売る会社」が同じフロアに並んでいること」
です。
設備を導入するだけではありません。
設備を導入しながらデータを取得する。
その考え方が当たり前になっていました。
農林水産省の推計では、フードテック市場は2020年の24兆円から2050年には279兆円まで拡大するとされています。
その巨大な変化が、いま食品製造の現場まで到達し始めています。
かつては大企業しか導入できなかった技術が、中小企業でも使える価格帯まで下がってきました。
設置のハードルも下がりました。
補助金という後押しもあります。
環境は確実に変わっています。
会場で隣に立っていた工場長が、最後にこうつぶやきました。
「これ、知らないままでいたら、気づいたら差がついてたってやつですよね」
まさにその通りだと思いました。
技術革新の怖さは、劇的な変化ではありません。
静かな蓄積です。
今年FOOMAに来た会社と、来なかった会社。
その差は今年の時点では小さいかもしれません。
しかし3年後、5年後に振り返ったとき、その差は取り返しのつかないものになっている可能性があります。
FOOMA JAPAN 2026は、2026年6月2日から5日まで東京ビッグサイトで開催されました。
テーマは、
「The Shift is On.」
――変化は、もう始まっている。
という宣言です。
詳細は本連載の第9回でご案内します。
「急に人が来なくなる」
そんなことは、ある日突然起こります。
私自身、3週連続でそれを経験したことがあります。
次回は、その生々しい体験とともに、
50人の工場が43人で回さなければならなくなったとき、現場で何が起こるのか。
具体的な数字を交えながらお話しします。
── 株式会社アカネサス 代表取締役 北條竜太郎
お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。