2025.04.09

【なぜ?】うちのネットショップが失敗した理由

茜丸倒産後に挑んだ新たな一手

こんにちは、北條です。

前回の記事では、私の家業である茜丸が倒産した際のストーリーと、そこからどのように立ち直っていったかについてお伝えしました。

そして、会社を成長させる経営者に共通する要素として、

「既存の枠組みにとらわれず、ゼロベースで新たな枠組みを作れる力」

が重要だという話もさせていただきました。


私自身、2007年に茜丸が倒産して以降、ゼロベースで新たな枠組みを作る経験が、事業を再生させるための大きなきっかけとなりました。

その中でも特に象徴的だったのが、業務用あんこの通販事業へのチャレンジです。


ネットショップという“新たな枠組み”への挑戦

茜丸が倒産

契約していた大手取引先との関係が終了

与信リスクを理由に、卸との契約も次々と打ち切られる

小規模なベーカリーであれば与信に関係なく取引できると気づく

ベーカリー向けにネットであんこを販売しようと決断


こうして、業務用通販のネットショップを立ち上げるという、新たな挑戦を始めました。

ところが、いざスタートしてみると…

初月の売上はわずか8.5万円。

そこから半年間、売上は10万円前後をうろうろ。全く伸びませんでした。


ネットショップがうまくいかなかった根本原因

なぜネットショップは失敗したのか?

当時は個人経営のベーカリーに直接訪問しながら販売もしていたのですが、ふと気づいたんです。


「そもそも、ターゲットであるパン屋さんがネットであんこを買っているのか?」

実際に訪問して話を聞いてみると…

  • 「もう仕入れ先は決まっている」

  • 「注文は電話かFAXでしている」

という声が多かったのです。


今でこそ、スマホやPCでの注文は当たり前かもしれませんが、当時はまだ食品業界にネットが十分に普及していない時代でした。


ネット通販は、

  • 現場でスマホやPCを使う文化がない

  • 自宅に戻ってからPCを開いてオーダーしなければいけない

というパン屋さんの実情と大きくズレていたのです。


その瞬間、ようやく気づきました。

「そりゃ売れないよね…」


顧客理解の欠如がマーケティングの落とし穴に

今となっては当たり前のように思えるこの事実。

でも当時の私には、見えていなかったのです。


  • どんなふうに仕事をしているのか?

  • いつ「買おう」と思うのか?

  • どんな資料やチラシに目を通しているのか?

  • どんな場所でどんな働き方をしているのか?


こうした顧客のリアルな日常を、深く知ることができていなかったのです。


このような「売り手の都合で売る」マーケティングは、今でも多くの企業が陥っている罠です。


カタログ通販へと舵を切る

そこで私たちは、ネットショップを一旦やめ、電話とFAXで注文できる“カタログ通販”へと切り替える決断をしました。

ちなみに、楽天を使わなかったのには理由があります。

すでに楽天市場には、あんこ販売でレビュー3,000件を超える先行企業が存在していて、当時から圧倒的なシェアを握っていたからです。


そこで、競合が少ない自社サイトでの販売に切り替えましたが、それも簡単にはいきませんでした。

ただ、失敗を通じて得た学びは、非常に大きなものでした。


経験から得た教訓

今回のブログでお伝えしたかったことは、以下の2点です。


1. マーケティングで最も大事なのは「顧客理解」

ターゲットの行動・価値観・生活スタイルを深く知ること。
このプロセスなくして、売れる仕組みは作れません。


2. 既存の枠組みにとらわれず、深く考え抜く力

“いつものやり方”が通用しないときこそ、ゼロベースで考える柔軟さが問われます。


この失敗はつらいものでしたが、だからこそ次の一歩に繋がったと今では感じています。

少しでも皆さんの経営やマーケティングの参考になれば嬉しいです。

それでは、また次回。

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