こんにちは、北條です。
これまでの記事では、茜丸の倒産から復活までの経緯をお伝えしてきました。
あらためて、これまでの流れを振り返ると――
茜丸が倒産
大手メーカーや卸との取引が終了
小規模ベーカリーとの取引なら与信不要と気づく
ベーカリー向けにネットで業務用あんこの通販を開始
しかし、FAXや電話での発注が主流と知る
卸を介さないカタログ直販を始め、成果を上げる
今回はその中でも、「カタログ通販」をどう広めていったのか?についてお話しします。
業務用食品を扱う企業の方であれば、この取り組みが参考になるのではないかと思います。
ベーカリーへの訪問を重ねるうちに見えてきたのは、彼らの購買スタイルでした。
ネットではなく、FAX・電話での注文が基本
ネット環境が整っていない現場も多い
パソコン操作に不慣れな人も多い
そんな現場の実情を踏まえ、どうすればもっと効率的に直販を広げられるかを考えました。
そのとき、当時付き合いのあったコンサルタントの方から紹介されたのが「カタログ通販」です。
当時、モノタロウやタスカルといった企業が、業務用向けにカタログ通販を展開していました。
モノタロウ:工具や文具など幅広い商品を扱う
タスカル:外食向け食材を扱う
今でこそモノタロウは完全オンラインですが、当時はカタログが販促の主流でした。
「他業界で成功している方法を、自分の業界にも応用できないか?」
この発想が、茜丸でのカタログ戦略の出発点でした。
実際、多くの企業が新しいチャレンジに踏み出せない理由の一つに、
「業界の慣習を壊すと、誰かに怒られるのでは?」
という心理的ハードルがあります。
私たちも例外ではなく、たとえば…
卸が入っている店舗にカタログを配布したら、クレームが来るのでは?
卸との関係が悪化するリスクがあるのでは?
そんな懸念がありました。
でも、結果的には問題ありませんでした。
理由はシンプルです。
卸が狙うのは大口の企業、私たちが狙うのは遠隔地の小さなベーカリー。
つまり、商圏も顧客層もかぶっていなかったのです。
このように、**カタログ通販の強みは「ルート営業が不要」**という点です。
営業工数をかけずに、遠隔地や地方の小規模店舗へもリーチできる。
正直、茜丸が追い詰められていなかったら、カタログ戦略のような大胆な取り組みはできなかったかもしれません。
でも、ピンチだったからこそ、これまでの常識や枠組みにとらわれず、思い切った挑戦ができたのです。
「どうせやるなら、徹底的にやろう」
「常識に縛られず、ゼロベースで考えよう」
そんな想いが、当時の原動力になっていたように思います。
今回お伝えしたかったのは、
他業界の成功事例から学ぶ柔軟性
顧客の現実を深く理解する姿勢
業界の常識にとらわれず行動する勇気
この3つがそろったとき、初めて「今の時代に合った販路」が生まれるのだと、実感しました。
業務用通販という分野においても、“今も有効なカタログ戦略”として、まだまだ活用の余地はあると感じています。
それでは、また次回。
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