2025.06.23

【新補助金】”大規模成長投資補助金”の落とし穴

こんにちは、北條です。

最近、話題に上ることが多い「大規模成長投資補助金」。

銀行から勧められたという経営者の方も多いのではないでしょうか?
弊社アカネサスにも、多くのお問い合わせが寄せられています。

確かに、補助額の規模は非常に魅力的
ですが、私たちはこの補助金の採択サポートに積極的には取り組んでいません。

その理由を、本記事でお伝えしていきます。


大規模成長投資補助金とは?

この補助金は、経済産業省が管轄する、大規模な設備投資を対象にした補助金です。

主な概要はこちら:

  • 補助額:最大50億円

  • 賃上げ要件あり(最低3%)

  • 投資額:最低10億円

  • 用途:工場などの設備・建物投資が可能

ゼネコンや金融機関も積極的に動いており、
大型案件向けの補助金として注目を集めています。


しかし…中小食品メーカーには向かない「5つの落とし穴」

1. 賃上げと付加価値向上が目的 = 食品業界には厳しい

この補助金の大前提は「賃上げ」と「付加価値向上」。
しかし、原価率が高い食品業界にとっては大きなハードルです。

製薬などの低原価率業界と同列で審査されるため、
規模が小さい食品メーカーには不利な設計です。


2. 最低投資額が10億円 = 中小企業には過剰

弊社が支援している企業の多くは年商10〜20億円規模。
その中で10億円の投資は非常に大きく、現実的ではありません。

しかも、10億円が“最低ライン”という点がポイントです。


3. 他の補助金と併用できない

この補助金で建物に対して補助金を受けると、設備に他の補助金が使えなくなります

例:

  • 建物 → 本補助金で建設

  • 設備 → 他補助金(ものづくり等)で導入 → ❌禁止

中小食品メーカーにとって、柔軟な補助金活用ができないのは大きな痛手です。


4. 採択率が異常に低い

第1回公募では…

  • 申請件数:736件

  • 採択数:109件(採択率14.8%

  • 採択された中小企業:わずか6社

採択された企業の一部をご紹介すると、

  • マリンフード(売上362億円)

  • 創味食品(348億円)

  • サンクゼール(191億円)

  • 福砂屋商事(グループ売上150億円以上)

…など、中堅〜大手企業が中心

売上50億円以下の中小企業にはほとんどチャンスがない構造となっています。


5. 事務局の運用が読めない

この補助金は新設の制度であり、
事務局がどのような運用をするのかが読めません。

採択後に想定外の確認や修正対応を求められる可能性もあり、
補助金の経験が浅い企業にとっては大きな負担になります。


結論:この補助金は“ハイレベルすぎる”

補助額の魅力は間違いありません。
ですが、実態としては超大手向けのハイレベル補助金です。

  • 規模

  • 採択率

  • 他補助金との相性

  • 運用リスク

これらを考慮すると、中小食品メーカーには現実的な選択肢ではないと考えています。


中小企業には農林水産省系の補助金がオススメ

弊社アカネサスでは、中小規模の食品メーカーに適した

  • 採択率が高く

  • 投資規模に合った

  • 柔軟性のある

農林水産省系の補助金を推奨しています。


次回予告:農水系補助金の最新情報をお届け

次回のブログでは、
「農林水産省系補助金」の最新情報と、活用方法の解説をお届けします。

  • 「大規模補助金を検討していた方」

  • 「建設や設備で大きな投資を予定している方」

には、特に参考になる内容になるかと思いますので、
どうぞ次回の更新をお楽しみにお待ちください。

それでは、本日もありがとうございました。

お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。