2025.08.08

【補足】冷凍食品の開発が難しい理由

こんにちは、北條です。

先日お届けしたブログで、

「冷凍食品 vs レトルト食品」
それぞれの特性やメリット・デメリットについてお話ししました。

特に「冷凍食品の開発は難しい」という点に、多くの読者の方から反響をいただきました。

中にはこんなご意見もありました:

「弊社では白ご飯の冷凍化に成功しました」
「白蝋化現象(解凍後のご飯がパサパサ・ポロポロになる現象)も出ていません」

確かに素晴らしい取り組みです。

ですが、ここで改めて共有しておきたいのが、

「ラボレベルで成功すること」と「市場で売れる商品にすること」はまったく別物

という点です。


ラボでの成功=市場の成功、ではない

冷凍食品の難しさは、「凍結技術」だけにあるわけではありません。

どれだけラボで素晴らしい状態の冷凍食品が作れたとしても、
実際にスーパーの流通に乗り、
消費者の冷凍庫で保存され、
電子レンジや湯せんで解凍されるまでの過程で——

味・食感・見た目は大きく変化することがあります。

一時的に室温に戻ったり、温度が上下するだけでも、
冷凍食品の品質には影響を与えるのです。


なぜ「白ご飯の冷凍」は難しいのか?

ご飯は非常に水分量が多い食品の一つです。

例えば冷凍おにぎりや白ご飯を商品化しようとすると、
水分が凍って結晶化しやすく、解凍時には

  • 風味の損失

  • パサつき

  • 粘りのなさ

といった状態になりやすいです。

実際に大手でも参入していない理由

冷凍食品のトップ企業である

  • 味の素(AJINOMOTO)

  • ニッスイ

などを見ても、
「白ご飯単体の冷凍食品」はほとんど市場にありません。

あるのは、チャーハンのように油でコーティングされていたり、
水分をだしで置換したような、加工を施されたご飯のみ。

その理由はただ一つ——
品質を一定に保つのが極めて難しいからです。


過酷な試験が不可欠

では、ラボレベルの成功を「商品化」まで持っていくにはどうすればいいのか?

答えは、過酷な検証を繰り返すことです。

たとえば、開発現場では

  • 凍結後に「インキュベーター」で温度変化を意図的に与える

  • 解凍後に品質・味・見た目が保てるかを複数環境で試す

  • 消費者の家庭環境を想定した「再現テスト」を繰り返す

といった取り組みを行い、どんな環境下でも品質を維持できるかを確認していきます。


結論:冷凍化は慎重に見極めるべき

白ご飯のような難しい素材でも、
理論的には冷凍化は可能です。

しかし、

  • 消費者の手に届いた時の品質

  • 温度変化の耐久性

  • 解凍後の満足感

までをすべて満たして初めて商品として成立します。

ですから、開発段階ではぜひ一歩踏み込んで、
**「市場に出せる商品かどうか」**の視点で確認していくことをおすすめします。


ご興味のある方へ

弊社では冷凍食品の開発に関する技術支援や、
冷凍適性の判断、凍結試験、商品化支援なども行っております。

ご希望の方には個別説明会もご用意可能です。

もし冷凍食品の商品開発をご検討中であれば、
お気軽にお問い合わせください。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。

お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。