こんにちは、北條です。
前回に続き、今回も「儲かる」にまつわるお話をしていきたいと思います。
コンサルティングの場で、よくこんなご質問を受けます。
「儲かる業界ってどこですか?」
「今、熱いビジネスって何ですか?」
このように、「儲かる業界」や「当たる商売」を常に探している方が少なからずいます。
ですが、私の答えは毎回同じです。
「好きにしたらいいんじゃないですか?」
冷たく聞こえるかもしれませんが、決して突き放しているわけではありません。
この答えには、経営における本質的な考え方が詰まっています。
儲かる業界を探すことは、幻想を追いかける行為です。
確かに、一時的に「儲かる市場」や「トレンド商品」は存在します。
ですが、そうしたものは必ず、
需要が高い → 参入者が増える → 供給過多になる → 利益率が下がる
というサイクルに巻き込まれます。
これは経済学でいう「経済の均衡」の働きによるものです。
逆に「儲からない市場」は参入者が少ないため、供給が限られ、一定の需要を満たすだけで高単価が可能になることも。
つまり、結局どんな業界を選んでも、長期的には似たような収益性に落ち着くのです。
こうした理由から、業界選びの基準は、
「儲かるかどうか」ではなく、
「こだわってやり続けられるかどうか」
であるべきです。
ブームに飛びついても、その中身を深く知らずに参入すれば、すぐに撤退することになります。
最近では「宿泊業」なども一時的に注目されていますが、実際には非常に難易度が高く、簡単に儲かるビジネスではありません。
誰でもできる、誰がやっても儲かるビジネスがあるとしたら──
それは資金力のある企業が最終的に独占する構造になりがちです。
広告宣伝費、人材投資、マーケティング力。
こうした差が大きく出るため、中小企業が入り込む余地はどんどん減っていきます。
SNSの台頭により、食品業界でも流行のサイクルがどんどん早くなっています。
たい焼き
タピオカ
高級食パン
かつては大きなブームが起こっていましたが、今では“小粒なブーム”が頻発し、それもすぐに廃れていきます。
つまり、ブームに乗って儲ける時代から、コツコツと継続できる力がものを言う時代に変わっているのです。
では、最終的に「儲かる人」と「儲からない人」を分けるのは何か?
それは、
いかに利益を生むビジネスモデルを構築できるか
です。
たとえば同じ食品業界でも、
ライフ(BtoC)は売上8,000億円に対して営業利益240億円(利益率3%)
セブンイレブン(BtoB)は売上5兆円に対して営業利益2,300億円(利益率5%)
同じ業界でも、ビジネスモデルによって利益率に大きな差が出ます。
儲かるマーケットを探すことには、実はあまり意味がありません。
それよりも重要なのは、
長くその業界に身を置き
商品やサービスを磨き続け
利益がしっかり残る構造をつくること
つまり、地に足をつけた経営をいかに実行できるかがすべてです。
「儲かる業界はありますか?」という問いの本質は、外側に答えを探す姿勢にあります。
でも本当は、内側(自社)に答えを見つけていくしかないのです。
いま儲かっている会社も、最初は苦労して、自社に合ったモデルをつくりあげてきたはず。
「どこで儲かるか」ではなく、
「どうすれば、自社の中で利益が出る構造をつくれるか?」
この視点で、次の一手を考えてみてはいかがでしょうか。
それでは、また。
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