こんにちは、北條です。
先日、ネット記事を眺めていたとき、弊社が目指している食品業界の在り方を改めて考えさせられる事例に出会いました。
それは、100年以上続いた和菓子メーカーの廃業に関するニュースでした。
この記事は2022年のものでしたが、つい最近目にし、驚きました。
というのも、その会社は、私が過去に接点を持ったことのある企業だったのです。
「茜丸」と同業でもあり、
後継者不在で事業承継ができない
売却を検討している
という話を伺って、お話を聞きに行ったことがありました。
記事によると、廃業の直接的な理由は次の通りです。
「増設を重ねた工場に建築基準法上の問題があることがわかり、企業買収が不調に終わった。のれんの売却も検討したが、従業員の雇用が守られないという理由で廃業を決意」
具体的には以下のような問題がありました。
住宅地に工場があることで用途地域違反(第一種・第二種住居専用地域では工場面積50㎡以下に制限)
建蔽率が90%以上で明らかな違反状態
大規模な増改築が不可能な状態
買収を検討した企業にとっては、コンプライアンスリスクの大きい企業をグループに迎えることは難しかったのだと思います。
もちろん、売却によってお金を残す道もあったのでは?という見方もできますが、
自社の熟練の職人による製造にこだわったのかもしれない
と思うと、その選択にも強い想いがあったのではないかと感じます。
それ以上に残念だったのは、そのメーカー独自の“味”が消えてしまったことです。
私は、中小食品メーカーにしかできないことがあると考えています。
たとえば:
大手には真似できない製法へのこだわり
希少な原材料を使った製品づくり
大量生産・機械化の時代ではありますが、すべてを機械化すれば良いとは思っていません。
たとえば、饅頭の生地は機械よりも手包みの方が傷みにくく、美味しく仕上がることもあります。
現実問題として、中小企業は大手に比べて競争力が弱く、さらに今回のように工場の法令違反が原因で事業継続ができなくなるケースも増えています。
この記事のような事例は全国各地で起きているはずです。
このままでは、
“コンビニとPB商品しかない時代”が本当に来てしまうかもしれない
という危機感を覚えます。
私がこの事業を始めた背景には、
日本全国の特色ある食品メーカーが輝ける世の中を作りたい
という想いがあります。
そのためにも、補助金を活用して、今の時代に適応できない食品工場をリニューアルする支援を行っていきたいと考えています。
これこそが、弊社「アカネサス」が実現したい未来であり、私たちが取り組むべき社会的な意義です。
記事にはこうも書かれていました:
「増設を重ねた工場に建築基準法上の問題があることがわかり、企業買収が不調に終わった」
この点について、補足をしておきます。
工場売却や事業承継を考えるとき、以下のようなケースが問題になります。
建築確認済証が確認できない未登記建物
用途地域違反、建蔽率オーバーなどの違反
このような状態では、
建て替え・改修・減築などで合法化が必要
そのコスト次第で、利益が出ていても債務超過扱いになる(例:建て替えに5億円→5億円の借金と見なされる)
さらに、将来的には
流通業者の監査
銀行の融資審査
といった場面でも、「工場の法令適合性」がチェックされる時代がやってくる可能性があります。
今はまだ問題になっていなくても、いざというときに工場の法的問題が足かせになってしまうことがあります。
だからこそ、
早めに整備しておくことが、未来の選択肢を広げるカギになる
と強くお伝えしたいと思います。
今回の出来事を通じて、あらためて私たちは
「食の多様性を維持すること」
を自らの使命として掲げ、これからも中小食品メーカーの支援に力を入れていく所存です。
特色ある“味”や“技術”が、次の世代にも受け継がれるように。
そして、日本の食文化がより豊かで多様なものとして残り続けるように。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。