2025.10.08

立派な経営者に育つために必要なこと

こんにちは、北條です。

もしあなたが、

  • これから事業を担う人を育てたい

  • 経営者として、さらに高みを目指したい

とお考えであれば、ぜひ本日の内容をご覧いただければと思います。


経営者に必要なのは「経験の重み」

今回お伝えしたいのは、「経験」の価値についてです。

経営者としての経験が重要であることは、誰もが理解していることだと思います。

しかし、最近お話しする後継者がいる経営者の方々の中には、
この「経験の重み」を過小評価されている方も少なくありません。

たとえば、

  • 息子に迷惑をかけたくない

  • 代替わりまでにすべてを整えてあげたい

という“優しさ”や“責任感”から、
**後継者にとって何より大切な「成長の機会」**を奪ってしまっているケースも見られます。


「たい焼き」で得た経営の教訓

私自身の話をさせていただきます。

2010年頃、私は実家の家業「茜丸」に入りました。

このときの経験は、今の私の経営の土台をつくったといっても過言ではありません。

初めての新規事業「たい焼きショップ」

当時、たい焼きブームの真っ只中。
私たちも6坪の小さな店舗を南海電車・天下茶屋駅に出店しました。

市場調査を重ね、

  • 客層のニーズに合わせた価格設定

  • 持ち帰り需要に対応した包装

  • 原価と味のバランスを突き詰めたレシピ(妻が考案)

など、半年かけて形にしていきました。

開店当初の感動は、今でも鮮明に覚えています。
最初のお客様がたい焼きを5個買ってくださった瞬間、心から感謝したのを覚えています。

そして、この経験が、
「自分で考えて、自分で事業を作る」という自信に繋がりました。


売上6,000万円、しかし…

たい焼きショップは、わずか6坪ながら年商6,000万円・利益2,500万円を上げるほどのヒットに。

しかし、その後の展開が失敗でした。

  • ブームの終焉を見誤った

  • 商品寿命の短さを軽視していた

  • FC展開を見送り、自社での多店舗展開を選んでしまった

これらの判断ミスにより、赤字経営に転落。
最盛期は1日25万円売れていたのが、最後には3万円台まで落ちました。

とても悔しい、そして苦い経験でした。


苦い経験が、次の正しい判断に変わる

ただ、この失敗こそが、私の経営者としての感覚を磨く最大の学びになったのです。

たとえば、コロナ禍で「事業再構築補助金」が話題になったときも、
私は「この波は長続きしない」と感じて、すぐに農林水産省系の補助金支援事業に舵を切りました。

結果的に、補助金バブルの後に淘汰された多くの事業者の中で、
今でも生き残り、新たなチャレンジへと進むことができています。

この“スピード感”と“嗅覚”は、あのたい焼き事業の苦い失敗から得たものでした。


後継者に必要なのは「整った環境」ではない

最近よく耳にするのが、

「息子に渡すまでに、すべて綺麗にしておきたい」

という言葉です。

この気持ちはとても素晴らしいと思います。

しかし同時に、それは後継者の成長機会を奪う可能性もあるのです。


自ら事業を「立ち上げる」経験こそが育てる

多くの後継者は、整った環境の中で事業を引き継ぎます。

その結果、

  • 臨機応変な対応力

  • 変化の兆しを察知する嗅覚

  • 自ら判断・決断する力

といった「経営者として最も重要な力」が育たないケースが少なくありません。

それは、「ゼロから何かを作った経験」がないからです。


苦しくても、挑戦させるべき理由

もし、あなたが後継者をお持ちであれば、
**ぜひ早い段階で「事業をハンドリングする経験」**を与えてあげてください。

成功体験だけではなく、

  • 自分で失敗した経験

  • 自分で責任を持って判断した経験

  • 自分で感動した初成約の記憶

こうした「生の経験」こそが、立派な経営者を育てていくと私は信じています。


まとめ:経験は、経営者の最大の資産

私のたい焼き事業の失敗も、
補助金ビジネスでの判断も、すべては「経験」があったからこそ。

そしてこれは、後継者にも必ず必要なプロセスです。

失敗させないことが愛ではない。経験させることが愛だと私は思います。

それではまた、次回のブログでお会いしましょう。

本日もお読みいただき、ありがとうございました。

お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。