こんにちは、北條です。
我々のような中小食品メーカーでは、社長自身が職人であるケースが非常に多いと感じます。
かつては、
「美味しい食品=売れる時代」でした。
だからこそ、職人として“味の追求”に情熱を注ぎ、技術を磨き続けてきた方も多いでしょう。
しかし残念ながら、今の時代は「職人」であるだけでは勝てない時代に突入しています。
かつて食品が貴重だった時代は、高い技術そのものが価値でした。
「他にはない美味しさ」や「職人の手仕事」だけで、お客様が自然と集まり、商品は売れていきました。
ところが現代は大きく違います。
インターネットの普及によって、
誰でも・どこでも・いつでも、
“美味しいものを作る技術”にアクセスできるようになったのです。
例えば──
機械メーカーの研修を受ければ、短期間で専門技術が身につく
ネットで検索すれば、専門家やレシピ情報がすぐ手に入る
「ビザスク」などのサービスで、業界のエキスパートにスポット相談できる
つまり、かつて長年の修行でしか得られなかった技術が、今ではお金で簡単に買える時代になりました。
その結果、「技術」だけでは市場で差別化できなくなっているのです。
「美味しいものを作れる」だけでは、もはや勝負にならない。
今の時代に求められるのは、
【社長=職人】ではなく【社長=経営者】という視点です。
では、現代において勝ち続けるために必要なものは何か?
結論から言えば、
「モノを作る力」ではなく、「お客様が欲しくなる形に“見せる力”」です。
つまり、経営者視点が欠かせません。
先日、業務スーパーでどら焼きを見て驚きました。
なんと1個36円。
一方で、「日本一高いどら焼き」と言われる浅草の亀十さんのどら焼きは、1個390円。
その差は実に10倍以上。
それでも、亀十さんの店には行列が絶えません。
もちろん、味の違いはあります。
ですが、390円と36円の価格差を味だけで説明するのは難しい。
今やコンビニのどら焼きも驚くほど美味しく、大手メーカーは大量生産によって原価を抑えながら高品質を実現しています。
つまり、「味」だけで戦う市場では、どこも強い。
それでも亀十さんにお客様が殺到する理由。
そこに、これからの食品メーカーが学ぶべき“本質”があります。
亀十さんの成功の秘密は、「美味しさ」そのものではなく、“パッケージ”の設計力にあります。
ここで言う「パッケージ」とは、
単なる包装やデザインではなく、
商品価値を多面的にまとめ上げる見せ方・体験設計のことです。
「浅草の老舗」というブランドストーリー
「特別な手土産」としての社会的ステータス
「思い出や体験」に結びつく感情的価値(浅草を思い出す、誰かに渡す喜び)
お客様は、「味」だけでなく、これらの要素すべてを一つの“体験”として購入しているのです。
たとえば、ディズニーランドやUSJでは、
外では数百円で買えるものが1,000円以上で売れます。
これはまさに「パッケージ化された価値」の力です。
多くの食品メーカーでは、社長が職人として現場に立っています。
しかし、これからの時代に求められるのは「経営者」としての発想です。
経営者の仕事とは、
磨き上げた技術を、どう見せ、どう届けるかを設計すること。
言い換えれば、
「機能」を「価値」に昇華させることが経営者の役割です。
例えば、弊社が行っている「補助金サポート業務」も同様です。
単に補助金の申請を代行するだけなら、安く請け負う業者はいくらでもいます。
しかし私たちは、
どんな事業をすべきか?
補助金採択後にどう経営を改善すべきか?
どんな工場設計・設備投資が最適か?
どうマーケティングまで繋げるか?
といった事業全体の成功設計を含めた「パッケージ」で支援しています。
だからこそ、そこに「高い価値」を感じていただけるのです。
食品メーカーも同じです。
技術や味を磨くだけでなく、
どういうコンセプトで
どんなパッケージで
どんな体験価値として届けるのか
を設計できるかどうかが、今後の明暗を分けます。
現代は、「職人社長」が通用しなくなった時代です。
これからの社長に必要なのは、
経営者視点での価値設計
技術を“体験”に変える発想
機能を価値に統合する力
つまり、美味しさを“売れる形”に変える力です。
「パッケージ思考」を持つことが、
これからの食品メーカーが生き残るための最大の鍵になるでしょう。
ぜひ、今日から意識してみてください。
北條
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