こんにちは。
アカネサス代表の北條竜太郎です。
前回は、後継者が叩き上げに勝てない理由として、
「知の地盤が違う」──つまり**“暗黙知”の有無**をテーマにお話ししました。
今回は、その続編として、
**暗黙知にどう食い込んでいくか=“盗み方”**を掘り下げます。
現場ではよく言われます。
「背中を見て学べ」「空気を読め」。
けれど、“見ているだけ”で学べるのは、
一部の天才に限られます。
多くの後継者が経験しているのは、
「見たけど、何を学べばいいかわからなかった」という挫折です。
それはあなたが鈍いからではありません。
暗黙知の構造を知らないから、
“盗み方”がわからないだけなのです。
知識は次のプロセスで定着します。
見る → わかる → 使う → 語る
この流れを意識的に回すためのモデルが、
**野中郁次郎氏の「SECIモデル」**です。
| プロセス | 内容 |
|---|---|
| 共同化(Socialization) | 現場に入り、観察し、同行し、感覚を共有する |
| 表出化(Externalization) | 「なぜそうしたのか?」を言語化・メモ化する |
| 連結化(Combination) | 他の事例や知識と結びつけて整理する |
| 内面化(Internalization) | 実践し、自分のスタイルに落とし込む |
このサイクルを何度も回すことで、
“再現できる暗黙知”=技術になります。
つまり、「天才の背中」は理屈で盗めるのです。
暗黙知を盗むには、観察と記録が不可欠です。
しかし、ただ行動を記録しても意味はありません。
重要なのは──
**なぜその判断をしたのか?**という“問い”を持つことです。
なぜこのタイミングで判断したのか?
なぜこの人にはこの言葉遣いだったのか?
なぜ会議では黙っていたのに、あとで電話をしたのか?
こうした問いを重ねていくうちに、
相手の**「判断の裏側思想」**が見えてきます。
暗黙知とは、単なるコツではなく、
その人が持つ“知の美学”の体系です。
観察して、言語化しても、
それを自分の言葉で語れなければ定着しません。
「このラインは気温25℃を超えると微妙にズレが出ます。湿度とのバランスですね」
「あのお客様、沈黙の後は契約解除のパターンが多いです」
「○○さんが無言で席を立ったときは、現場で火種が起きていることが多いです」
こうした**“現場語り”ができる人は、
理屈ではなく肌感覚を理解している人**として信頼されます。
形式知だけを振りかざす人ではなく、
“わかってる人”として認識され始めるのです。
形式知だけでは勝てない。
暗黙知を持つ叩き上げとの間には、“知の地層”の違いがあります。
しかし──
観察し、言語化し、整理し、内面化する。
このプロセスを回し続ければ、
暗黙知は盗める。
そして語れるようになります。
後継者が**「現場に根ざした言葉」**を獲得すれば、
それが組織に対する最大の説得力になるのです。
次回は、ベテラン社員たちの
「判断力」「察知力」「空気を読む力」の正体を掘り下げます。
それは単なる経験ではなく、
“言語化されていないロジック”=戦略なき戦略です。
そこに、次世代リーダーが学ぶべき知の核心が眠っています。
株式会社アカネサス
北條竜太郎
お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。