こんにちは。
アカネサス代表の北條竜太郎です。
今回から3回にわたり、
「なぜ日本の食品メーカーは海外と比べて利益が出にくいのか?」
というテーマで考察していきます。
私は中小企業の支援を通じて、
日々の現場で「儲からなさの構造」を目の当たりにしています。
本シリーズではその背景をデータと実例から整理し、
これからの食品メーカーが取り得る戦略を検討していきます。
日本M&Aセンターが2023年11月に発表したレポート(※)によれば、
日本の食品メーカーの営業利益率は上場企業であっても平均3.6%程度。
海外の大手食品メーカーに比べて、著しく低い水準にあります。
これは中小企業だけの課題ではありません。
| 企業名 | 営業利益率 |
|---|---|
| 明治ホールディングス | 8.0% |
| キッコーマン | 7.4% |
| ネスレ(スイス) | 17.1% |
| ダノン(フランス) | 12.2% |
国内大手でさえ、海外勢と比べて大きく見劣りしています。
理由は明確です。
**「スケールしてもg単価が落ちない設計」**を海外大手は持っているのに対し、
日本企業の多くは、スケールによって単価が下がる構造に陥っています。
たとえばネスレの「キットカット」は、
世界各国で“プレミアムチョコレート”として高いg単価を維持しています。
一方、日本のブルボン製品は「コスパ型」が中心で、
キットカットの半分〜3分の1の単価で販売されることも珍しくありません。
アイス市場でも同様です。
ハーゲンダッツはどの国でも“高級アイス”のポジションを守っていますが、
国内メーカーの量販アイスは値崩れしやすく、単価維持が困難です。
ブランドが価格を守る構造を持つかどうか。
この設計力の差が、収益性の差そのものになっています。
海外大手が高い利益率を維持できるのは、
「スケールしても粗利が維持できる構造」を持っているからです。
プレミアムブランドの確立
EC直販・専用店舗など高粗利チャネルの確保
自社開発・特許による製品差別化
グローバル市場への展開によるリスク分散
一方、日本の食品メーカーの多くは真逆の構造にあります。
OEM比率が高く価格決定権を持てない
流通に主導権を握られ、値上げが通らない
設備投資負担が利益を圧迫
販路が量販店中心で、ブランド単価を維持できない
そして、最も本質的な問題は――
「ブランドを守る」という発想の希薄さです。
日本企業は「スケールしてコストを下げる」発想に偏りがちです。
しかし、その裏側で次のような悪循環が起きています。
スケールするほどブランドが“並商品化”する
売価が崩れ、価格競争に巻き込まれる
商品が“選ばれる理由”を失う
結果として、「スケール=利益向上」とは限らない構造が生まれています。
大企業でさえ設計できていない「収益性あるスケーラブル構造」を、
中小企業がそのまま模倣すれば、当然苦しくなります。
売上は伸びても粗利が増えない
設備投資だけが膨らむ
OEM先・流通に主導権を奪われる
ブランドが育たずコモディティ化する
結果として、「売っても売っても利益が残らない」状態に陥るのです。
次回は、こうした現状を踏まえたうえで、
中小食品メーカーがとるべき**「非スケーラブル戦略」**の意義を掘り下げます。
あえて手間をかけ、あえて狭く、あえて個性的に勝つ。
「小さいからこそできる戦い方」がどのように収益化へつながるのか。
実例を交えてお話しします。
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