2026.01.19

旅で得た感覚は、戦略の言語になる

「移動と構想力」シリーズ、最終回に寄せて

この3回シリーズでは、
「移動と構想力の関係」をテーマに、
私自身の経験を交えてお話してきました。

  • 第1回:「経営者の能力は、移動距離に比例する」

  • 第2回:「地方から来る人ほど視点が鋭い理由」

  • そして今回、第3回のテーマは
     **「旅で得た感覚は、戦略の言語になる」**です。


言葉にならない「違和感」こそが、戦略の素材になる

私は旅先で、
「なぜか気になる光景」や「説明できない違和感」に
よく出会います。

たとえば──

  • 地方のスーパーで見かけた、絶妙な陳列棚の色づかい

  • 地元の人が当然のように手に取る、独特な品揃え

  • ガイドブックには載らないけれど、地元で行列をつくるラーメン店

どれもデータでは語れない、
“現場の呼吸”のような情報です。


図面ではわからない合理性が、暮らしの中にある

北海道などの雪国を訪れると、
工場建設の現場で「雪の押し込み」を想定した設計を
目にします。

搬入口の位置や防風壁の角度が、
地域の暮らしと密接に結びついている。

図面を見ているだけでは気づかない、
地域独自の合理性がそこにあります。

このような“空気のような情報”こそ、
あとで事業設計や戦略を考えるときの素材になるのです。


感覚が、あとで「言葉」に変わる瞬間

旅の最中には言語化できない感覚も、
1週間、あるいは1ヶ月後──
ふとした瞬間に別の事象とつながります。

「あの時の構造、この問題と似ているな」

そう思える瞬間、
旅で得た感覚が戦略の言語に変わるのです。

だからこそ私は、
感覚ベースのインプットを大切にしています。


本やレポートでは得られない「一次情報」

本やレポートから得られるのは、
整理された“他人の知識”です。

一方、旅で得た情報は、
自分の目と肌で掴んだ一次情報

だからこそ、
必要なときにすぐ引き出せるし、
自分の構想にリアリティを与えてくれます。

構想とは、
空中で組み立てるものではありません。
誰かの暮らしや現場に触れた人だけが持てる、
**「根拠ある仮説」**なのです。


私にとっての「旅」とは

観光旅行もします。
妻と一緒に、熊本・阿蘇や沖縄・名護など、
お気に入りの場所を何度も訪れます。

でも、最も印象に残っている旅は、
マレーシア・ランカウイ島で、
現地の方の自宅に招かれたときのことです。

観光名所でも高級ホテルでもない、
その人の暮らしの中に入らせてもらった体験。

この記憶は10年以上経った今も、
私の旅の原点になっています。


編集後記|旅と構想のあいだで

今回の原稿は、
プーケット滞在中のホテルのデスクで書いています。

朝のストレッチ、
夕方のケトルベルトレーニングの合間に、
静かな時間を取りながら
「旅と構想」の関係を改めて整理しました。

もしこの記事が、
あなた自身の旅や仕事の視点を
少しでも広げるきっかけになれば幸いです。


北條竜太郎
アカネサス株式会社 代表

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