2024.01.29

【承継】大損するリスクが高い「資本承継」の仕方

こんにちは、北條です。

ここ最近、承継についてお伝えしてきましたが、
読者の多くの方は、「親戚や兄弟が持っている少数株式の整理について、 目先困ることがないから後回しにしよう」
と思っているかもしれません。
ですが、実は少数株主について考えるのは、「そろそろ受け渡そうか」「そろそろ代表者に就任する」タイミングで考えるのは良くないことです。
それでは遅すぎます。
常日頃から、資本・株主構成を考えて行動をしておかないとあとあと問題が生じてしまいます。
今日はそんな中でも、「株主構成」においてやってはいけないことをご紹介します。

本日のテーマは、法律に関わることなので正確には弁護士さんなどに改めて問い合わせていただけますとより正確な理解が可能です。

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親族経営が終わる時代
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一昔前は食品メーカー社長といえば食品を作って、売れれば社長という役割が務まりました。
でも最近は営業や製造以外に、IT、デジタルの知識、法務、品質管理、HACCP..
色々な知識とスキルが求められますよね。
そう考えると、今後は家族で受け継ぐケースだけでなく、身内以外の有能な人に後継するケースも少なくありません。
子供がどんな人生を歩みたいかは、親がコントロールするものでもありませんし、
子供がやりたいことがあるならば、無理に継がせても碌なことがありません。
そうするとM&Aをしたり、会社売却をして資産に変えたりするケースも十分にあり得ます。

そんな時に気をつけたいのが「資産の守り方」です。
ここを日頃から準備しておかないと大損するリスクがあるので、今すぐに承継を考えていない人でも必ず見ておいてください。

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大損するリスクがある資産の取り扱い:株を分配していませんか?
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会社の株を分配しているケース。
非常に多いです。
例えば、創業者から2代目に引き継ぐ時、家族で分配して相続して、3世代目になるとさらに多くの家族に分配されてるケース。
または、、持株会などによって株を社員で共有しているケース。
いろいろありますが、一般的に株は売れば良いと考えている人も多いです。
ただ、これは承継するにあたって非常にリスクが大きいです。

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株式のリターンは会社を育て上げた社長が受け取るべき最大の恩恵
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日々頑張って会社の売り上げを考えて事業成長を1番考えているのが社長だと思います。
もし、会社を売却するとして、、そんな社長が1番に恩恵を受けられるのが株式の価値の増加です。
例えば、年商10億の企業から年商100億の企業に育て上げた功績として
手元に株がない場合は、その恩恵を享受することができません。
親密さを感じないようなどこかの親戚が幸運を得るだけになってしまいます。
特にM&Aや会社売却を行う可能性があるならなおさらです。
人生をかけて情熱を持って作り上げた会社から恩恵を受けるために、
会社を売った後も財産を後世に受け継ぐために「株」を集めておくことが大切です。

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恩恵を受けられないだけでなく、大損するリスクも
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さらに恐ろしいのが…『株式買取請求権』の行使です。
『株式買取請求権』についてご存知でしょうか。
これは、「株主が株を買い取ってください」と言ってきたら必ず応じなければならない、いわば株主にとっての「権利」です。
つまり、会社の株の10%を持ってる人が「株を買ってください。」と急にやってきたら、
会社の財産の10%にあたる金額を払って高値で買い取らなければいけなくなります。
詳しくは法律の問題なので、個別で調べていただけると幸いなのですが、
買取請求権に関する訴訟では会社側はほぼ確実に会社側が負けます。
なぜならば財産権という民法上の基礎的な権利に関わるものなので、買取請求を要求した側が確実に勝つのです。

これについてはニュースになった事例があったりします。
株を親族や持株会で分割して保有していたために、その株を集めてやろうと悪巧みした人が1件1件株を集めて、
『株式買取請求権』を行使して企業から大金を得た事例です。
自分が不利になるだけでなく会社の経営も危険に晒してしまうリスクがあります。
ですので株を分散して持つことは承継だけでなく会社の経営にとってもリスクが大きいのです。

「株をひたすら売り捌けば良い」

「身内の相続で分散して分け与えれば良い」

このような考え方は危険なので、ぜひ注意してください。
特に食品メーカーではこのリスクが高いです。
なぜなら親族経営が一般的なので2代目の子供に分割して株を相続し、
さらに次の世代で分割して相続するようなケースも見られてるからです。
承継にあたっては、あるいは後継者がすでに決まっているのであれば
まず一件一件、株を買って集めておくことをお勧めします。
10億円の会社を100億円企業に育て上げたのであれば、リターンを受けるべきは社長ですし、
後世に正しく財産を継承するためにも分散はしないのが良いです。
そして現時点で株が分散しているなら、今すぐに買い集めることをおすすめします。

ぜひ身の回りにこういったケースがあれば何か対策を練ってみてください。
会社が大きくなってからとか、.
承継しようと思ったタイミングでは..
時すでに遅しの可能性もあります。

それでは、またメールします。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。

北條 竜太郎

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