こんにちは。
アカネサス代表の北條です。
本シリーズでは、
「非常時のふるまいは、リーダーの本質を暴く」
というテーマのもと、リーダーの在り方について考えてきました。
これまでの記事では、次のような視点を扱ってきました。
第1話:「共感なき演出」が信頼を崩す瞬間
第2話:「語る人」「怒る人」の限界
そして第3話となる今回は、
「語れて、怒れて、創れる」
すべてを備えた人物は実在するのか?
という問いについて考えます。
この問いに対して、実在の3人のリーダーを紹介します。
南アフリカ初の黒人大統領。
アパルトヘイト体制のもとで
27年間を獄中で過ごした人物です。
その後、彼は復讐ではなく、
「和解による国家の再設計」
を選びました。
マンデラは「赦し」や「共生」を語りました。
しかしそれは理念として語られたのではありません。
むしろ、
その沈黙や立ち居振る舞いそのものが言葉だった
と言えるでしょう。
マンデラは怒りを否定しませんでした。
しかし怒りを「報復」に変えるのではなく、
制度へと昇華させました。
象徴的なのが
真実和解委員会
の設立です。
白人文化の象徴だったラグビーチーム
スプリングボクス。
多くの黒人支持者は廃止を求めていました。
しかしマンデラはこれを存続させ、
国家統合の象徴へと再定義
しました。
この出来事は映画
『インビクタス/負けざる者たち』
でも描かれています。
三品和広氏は、経営学者でありながら、
現場と理論の断絶
に切り込んできた研究者です。
三品氏は
戦略なき日本企業
現場切り離しの経営
といった問題を、
極めて明快な言語で表現してきました。
その批判は一貫しています。
形式主義や見せかけの改革。
それらに対する怒りは、
感情的なものではなく、
構造に向けられた知的怒り
です。
三品氏は研究者でありながら、
経営者教育
企業との共同研究
事例の理論化
を通じて、
知を現場に実装する活動を続けています。
南場智子氏はDeNAの創業者です。
外資コンサル出身の経営者でありながら、
泥の中で動く経営者
として知られています。
著書『不格好経営』では、
成功談ではなく、
経営の矛盾
組織の葛藤
が率直に語られています。
南場氏は、
医療・行政・スポーツなど
動かない構造
に対して、
言葉ではなく
事業そのもの
で異議を示してきました。
DeNA創業
ベイスターズ再建
ヘルスケア・教育事業
など、
構造そのものを読み替える
事業を繰り返しています。
ちなみに私自身、
DeNA創業期に中途採用の面談を受けかけたことがあります。
しかし当時、
「コンサル出身者は好まれない」
という話を聞き、辞退しました。
今振り返ると、
あの会社には
きれいな戦略より
泥の中に入れる人
が求められていたのだと思います。
語れる。
怒れる。
創れる。
それは理想論ではありません。
実際にそのふるまいを
生きた人物が存在しています。
彼らに共通していたのは、
思想や肩書きではなく
場に立つ身体
沈黙を選ぶ判断
構造に手を入れる覚悟
でした。
リーダーの価値は、
戦略や発言だけでは決まりません。
その場で、どう立っていたか
に宿るものです。
ただし、マンデラは決して完璧な人物ではありませんでした。
私生活では、
複数の離婚
家族との断絶
妻ウィニーとの確執
など、複雑な人生を抱えていました。
私生活の影と、歴史的行動。
その矛盾を抱えながらも、
国家の暴力を制度へ変えた
その構えは、
やはり群を抜いていたと感じます。
── 北條竜太郎
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