こんにちは、北條です。
前回の記事では、会社を成長させる経営者に共通する要素として、
既存の枠組みにとらわれず、ゼロベースで新たな枠組みを作れる人
が必要だとお伝えしました。
私自身も、最初からこのような考え方ができたわけではありません。
しかし、ある経験を通じて“ゼロベースで考える力”が身につき、それが事業成長の原動力となりました。
今回は、その体験についてお話したいと思います。
みなさんの経営にも、何かヒントがあれば幸いです。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、私の家業は大阪の中堅食品メーカー「茜丸」です。和菓子や製餡を中心に事業を展開していました。
私が30歳の頃、当時は東京で会社員をしていましたが、家業が倒産の危機に陥り、実家に戻ることになりました。
そして2007年、茜丸はついに倒産しました。
倒産を経験した方は少ないかもしれませんが、一言で言えば、
信用がゼロになる
ということです。
茜丸の主要な取引先は大手メーカーでしたが、一度倒産してしまうと「この会社は今後も事業を継続できるのか?」という疑念から、深い付き合いを拒まれるようになりました。
卸売業者も、安定供給が難しい企業との取引を敬遠します。
その結果、既存顧客がどんどん離れ、新規営業もままならないという苦境に陥りました。
まさにこれが、「型も前例もない状況」です。
このような環境下で必要だったのは、既存の枠組みに頼らずに深く考え、道を切り開く力でした。
私も試行錯誤しながら、まず取り組んだのがパン屋さんへの直接営業。
地方の個人ベーカリーであれば、倒産した企業との取引にも応じてくれる可能性があると考えたのです。
実際に訪問してみると、ある程度の手応えはありました。
長距離の移動が必要
1日の訪問件数に限界
月1〜2万円程度の客単価で売上が伸びない
このモデルでは、年商15億円の会社の再建には到底届かないと判断しました。
そこで次に考えたのが、業務用通販という新たな枠組みです。
地方の個人経営ベーカリーなど、与信を重視しない小規模事業者に向けて、ネット経由で製品を販売するという方法です。
すぐに120万円を投じて、ネットショップを開設しました。
当時の画面は今でも覚えています。
ところが、実際に開けてみると…
初月の売上は8.5万円。
全くうまくいきませんでした。
売れないから広告にどれだけ使えばいいか分からない
広告を出さないとお客が増えない
リピート率も分からない
資金繰りが厳しい中で、先行投資への恐怖もありました。
気づけば、自分の給料すら出ない状態が続いていました。
この経験から得た大きな学びがあります。
それは、「商品のターゲットとなるお客様の状況を、きちんと理解していなかった」ということ。
当時の茜丸は、既存顧客からの受注に依存しており、新規開拓や営業に長けた人材が社内にいませんでした。
私自身も営業経験が乏しく、大手企業を相手にする自信がなかったため、個人経営のパン屋さんへの訪問を選びました。
しかし、実際に訪問して話をすることで、お客様の生活やビジネスのリアルな現実を知ることができました。
この対話を通して、「なぜネットショップがうまくいかなかったのか」という本質的な原因が見えてきたのです。
今回の記事では、倒産から業務用通販にチャレンジするまでのプロセスをお伝えしました。
次回は、失敗からどう改善につなげたのか?
その続きのストーリーをお届けします。
お楽しみに。
それではまた。
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