2025.11.26

借金22億円を背負って気づいた“経営の構想”の重要性

はじめに

こんにちは。
アカネサス代表の北條竜太郎です。

この記事では、私が家業の「茜丸」を再建した経験、そしてそこから得られた学びをお伝えしていきます。


22億円の借金と“構想のない経営”の崩壊

私は大学院を卒業後、外資系コンサルティング会社を経て、オリックス株式会社に入社しました。
オリックスでは事業企画部門で温泉旅館の再生案件などに携わり、現場と財務をつなぐ仕事をしていました。

そんな中、社会人4年目という早いタイミングで、実家の製餡メーカー「茜丸」にジョインすることになります。
気がつけば、肩書は**「再生担当役員」**。
現場と銀行の間を行き来する毎日が始まりました。

なぜなら、入社時点で借金は22億円を超えていたからです。
黒字なのに資金繰りが苦しい。
利益が出ているのに銀行との関係が悪化していく。

まさに「業績と財務が乖離した経営」──それが、構想のない経営の末路でした。


「打つ手は打ったのに」なぜうまくいかないのか?

当時の茜丸では、

  • 売上を上げよう

  • 新商品を出そう

  • 広告を打とう

…という手は、すでにすべて打たれていました。

しかし今にして思えば、それらは経営の本質の外側にある施策だったのです。

茜丸が経営的に苦しくなった最大の理由。
それは──

構造のバランスを欠いたまま、拡大に走ったこと。

具体的には、

  • 広告宣伝費に過大投資

  • 生産能力が低く即納できない

  • 品質の安定性が欠ける

  • 利益率の高い商品がないがしろ

結果として、「売れても追いつかない」「売上が立っても信用が落ちる」という悪循環に陥りました。
そして最終的には、メインバンクの信頼を失うことになります。


食品メーカーは「どれか1つだけ良くてもダメ」

食品メーカーの経営は、何か一つだけが突出していても成り立ちません。

  • 商品力

  • 供給力

  • 価格戦略

  • 販路

  • 収益構造

このうちのどれかが欠ければ、他がどれだけ良くても空回りします。
茜丸はまさにその典型でした。


現場で学んだ「構想の順番」

そこから私は、経営を一から学び直しました。
「構想とは何か?」
「どの順番で整えなければ現場が噛み合わないのか?」

活きたのは、オリックス時代の事業再生の現場経験でした。
数値と現場、資金と構造──その“間”を編集できなければ組織は動かない、という現実です。

この経験と茜丸での失敗を土台に立ち上げたのが、現在のアカネサスです。


アカネサスが行っていること

アカネサスでは、食品メーカー様向けに以下の支援を行っています。

  • 補助金を起点とした事業再構築の構想設計

  • 工場の新築・改装に伴う補助金申請〜工事支援

  • HACCP・輸出対応のための設計・実行サポート

特に多いご相談は、

「補助金は取れたが、どんな機械を入れれば利益が出るのかわからない」
「そもそも補助金以前に、何から検討すべきかわからない」

といった“再構築の最初の一歩”に関するものです。


構想から始める──経営を噛み合わせる順番

私たちが最も重視しているのは、「構想」から始めること
補助金・工場・営業利益を一直線につなげ、全体を編集することです。

その結果、営業利益が**3% → 8.2%**に改善した事例もあります。

私自身が遠回りして痛感したのは、

「構想の順番を間違えると、何をしても噛み合わない」
ということ。

逆に言えば、
構想 → 商品 → 工場設計 → 実行体制
この順番に並び直すと、経営は驚くほどスムーズに動き始めます。


今後のシリーズについて

このブログシリーズでは、そんな「構想から始める経営」のヒントを7回にわたってお届けします。
毎週月曜日に本編を、火曜・水曜・金曜には時事性の高いテーマをお届けしていく予定です。

次回は「倒産と再起」というテーマから続きをお話しします。

それでは、また。

アカネサス株式会社
代表取締役
北條竜太郎

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