こんにちは。
アカネサス代表の北條竜太郎です。
今回のシリーズテーマは
「再設計する経営──“社長であること”の呪縛を超えて」。
私が日々、経営の現場で試行錯誤している中で見えてきた、
「会社をどう再構築するか」というテーマを、3回に分けてお伝えしていきます。
今回お話しする内容は、
「経営の正解」や「成功哲学」ではありません。
私自身も、経営者として何度も迷い、壊れ、やり直してきました。
その過程で出会った、“経営をやり直せた社長たち”の共通点を、
一つの“構造”として言語化していく試みです。
その中でも特に印象的だった、
**「一度、すべてが崩れた会社の社長が再起した話」**を、今回は紹介します。
この話は、私が直接伺った実話です。
2回目の起業から10年、社員も増え、売上も右肩上がり。
外から見れば順調そのものでした。
ところが、ある日。
一人の社員が辞めると言い出します。
最初は「そういうこともある」と受け止めていたものの、
数週間のうちに退職者が続き、
3ヶ月後には、全社員が会社を去っていた。
「売上はありました。案件もありました。
でも、会社が止まりました。」
そう語る社長の表情は穏やかでしたが、
その奥にある“静かな痛み”が印象的でした。
会議をしても、声が響かない。
メールを送っても、反応がない。
──気づけば、組織全体が沈黙していたのだそうです。
「もしかして、自分が全部抱えていたから、
会社が“回っていたように見えていただけ”だったのではないか。」
そう気づいたときには、
すでに気力も体力も尽きかけていたといいます。
その後2年ほど、社長は半ば“抜け殻”のような状態に。
業務はこなしても、心が動かない。
「自分には経営の才能がなかったのかもしれない」
そう思いながらも、会社をたたむことだけはしなかった。
理由はひとつ。
「この経験を、もう一度やり直して証明したい」と思ったからです。
再起をかけて、彼は20社以上の専門家に相談しました。
採用支援、IT改善、組織開発、コンサルティング──。
どの話も「正しい」。
けれど、どれも“全体の設計図”にはならなかった。
「それぞれの助言は間違っていない。
でも、会社の全体像が見えてこないんです。」
この言葉は、私の中にも深く残りました。
最終的にその社長がたどり着いた結論が、こちらです。
「自分のやり方が間違っていたのではなく、
そもそも“経営の設計図”がなかったのではないか。」
この一言には、強いリアリティがあります。
多くの経営者が、会社を「続けて」はいる。
しかし、「どう動かしていくか」という構造設計図を
持っていないケースが驚くほど多いのです。
今回のシリーズでは、
この社長がそこからどう“社長をやめ”、
構造を再設計していったのかを3回に分けて追っていきます。
次回の第2話では、
実際にその社長が手放した「経営権」と「肩書」について、
そしてそこから見えてきた“会社の新しい形”についてお話しします。
それでは、次回。
北條竜太郎
アカネサス株式会社 代表
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