2025.10.01

【工場建設の落とし穴】安い見積もりが危険な理由

「安い建設会社にお願いしたい」というご相談

こんにちは、北條です。

工場建設のコンサルティングをしていると、

「できるだけ安い建設会社にお願いしたい」

というご相談をいただくことが非常に多いです。

今回は、そんな“安さ”を基準に建設会社を選ぼうとしている方に向けて、警鐘を鳴らしたいと思います。

もちろん私も、コストを抑えて建設を行うことには大賛成です。

しかし、「相場よりも安い金額」を提示する会社に依頼すると、後々に大きく後悔するケースが非常に多いのです。

「安かろう悪かろう」だけでは済まない話

「安い = 質が悪い」だけではありません。

むしろ問題は、

最終的に当初の見積もりよりも高いお金を支払う必要が出てくる

という点にあります。

これは決して珍しいケースではなく、私のまわりでも頻繁に起きている事例です。

今回は、失敗しない建設会社選びのポイントについて、実際の事例も交えながらお話ししていきます。


「良い建設会社」の定義は人によって違う

まず前提として、建設会社に求める価値観は人それぞれです。

  • 単に安く工場を建てたいのか?

  • 工場としてしっかりと機能を果たせるようにしたいのか?

  • 多少のコストがかかっても、信頼できる会社にお願いしたいのか?

この価値観によって「良い建設会社」の定義は大きく異なってきます。

私たちがご紹介する建設会社は、「安さ」を売りにする会社ではありません。

弊社が考える“良い建設会社”の条件は以下の通りです。

  • 生産性が高い工場を建てられる

  • メンテナンス性に優れている

  • 将来的に追加修繕が少ない設計

つまり、使いやすく、質が高く、長く運用できる工場を、専門的なヒアリングと設計をもとに提案・施工できる会社を重視しています。


「安い見積もり」に潜む落とし穴

さて、本題に入ります。

まず知っておいていただきたいのは、

「見積もりが安い」=「実際に安く建てられる」とは限らない

という事実です。

なぜか?

建設会社の営業担当者は、まず案件を獲得するために「できるだけ安く見せたい」という心理があります。そのため、「〇〇は別途検討」といった表記を多用して、表面上の見積もり金額を抑えているケースが多いのです。

ところが、この「別途検討」が非常に厄介で、蓋を開けてみると追加費用が何億円にもなる場合があるのです。


【事例1】排水設備の別途対応で億単位の費用追加

水産加工メーカー(売上5億円)

大手ゼネコンから提案された見積もりは魅力的でしたが、「排水設備が別途検討」との記載がありました。

最終的には、この排水設備だけで億単位の追加費用が発生。

加えて、地域の排水規制に対する調査不足も重なり、浄水設備の追加も必要になってしまいました。


【事例2】甘い概算で工事が白紙に

水産加工メーカー(売上20億円)

地元ゼネコンの提示した概算見積もりは3億円。しかし、業界経験のある会社に確認すると「その価格で建設できるはずがない」とのこと。

結局、詳細見積もりでは4.5億円まで跳ね上がり、補助金も絡んでいたため、計画自体が白紙になってしまいました。


【事例3】過剰設計による冷凍設備の無駄

菓子メーカー(売上20億円)

冷凍設備メーカーが設計したため、設備そのものは良かったのですが、結果的に冷凍倉庫がガラガラという事態に。

無駄に大きな施設を建てたことで、総工費も、固定資産税も、設備費用も増大しました。

将来の成長や繁忙期のことを見据えつつも、「ちょうどいいキャパシティ」の見極めが重要だったのです。


安さよりも重視すべきものとは?

このように、「安さ」を最優先にすると、結果的にかえって高くついてしまうケースが非常に多くなっています。

もちろん安さも大事ですが、それ以上に、

  • 建設の質

  • 建設会社の知識や経験

  • 提案力と専門性

これらが非常に重要であることを、ぜひ知っていただければと思います。


まとめ

「安い見積もり」に飛びつく前に、一度立ち止まって以下を考えてみてください。

  • 本当にその金額で必要な設備が揃うのか?

  • 将来の追加費用まで想定できているか?

  • 長く使い続けるにふさわしい品質があるか?

工場建設は、長期的な視点と冷静な判断が何より重要です。

安易な判断で、大きな損をしないためにも、正しい知識と信頼できるパートナー選びを大切にしてください。


また次回の記事でお会いしましょう。

本日もお読みいただき、ありがとうございました。

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