2025.10.13

コンサルタントの功罪

こんにちは、北條です。

最近、お米の価格が高騰しており、
それに伴い「米」を使うことが避けられない業界では、業績が低迷しています。

このような状況になると、
業界の課題を解決するために専門のコンサルタント
研修・セミナー・勉強会などを頻繁に開催し始めます。

中には、

「業界特化のコンサルタントに相談すればなんとかなるはずだ」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、業界全体が困窮しているような状況下でこのようなセミナーに参加することは、
かえって危険な結果を招く可能性もあるのです。

今日は、少し言いにくいテーマではありますが、
「専門コンサルタントの功罪」について、率直にお話しさせていただきます。


専門コンサルタントとは?その“功”の部分

まず、ここで言う「専門コンサルタント」とは、たとえば以下のような方々です。

  • 和菓子メーカー専門コンサル

  • 給食業界専門コンサル

  • 酒造業界専門コンサル

といった、食品業界内でもさらに特化した領域のコンサルタントのことを指します。

こういった方々は専門性が高く、即効性のある改善施策を提案してくれることが多いです。

たとえば、

  • チラシのデザインや訴求内容の工夫

  • 成功している同業他社の取り組み事例の紹介

など、「すぐに売上アップが見込める施策」を提供してくれるのが強みです。


目先の成果に満足してしまう“罪”の部分

実際、こうした提案を実行すれば、

  • 昨対比で10%売上アップ

  • コストダウンの成功

といった、目先の成果が出る可能性はあります。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。

それは、

目の前の問題解決だけで満足してしまうこと

です。


業界全体が低迷しているときは要注意

そもそも、今のように業界全体が低迷している場合、
「成功事例を真似るだけ」では根本的な解決にはつながらないことが多いです。

市場全体が縮小している中で、

  • 昨年より10%伸びた!

と言っても、業界全体が30〜40%縮小していれば、実質マイナスというケースもあります。

つまり、本当に必要なのは

今の市場・業界にとどまっていて良いのか?

という根本的な問いに向き合うことです。

しかし、業界特化のコンサルタントは、
その業界から離れるという選択肢を提示しづらい立場にあります。


日本の食品業界に多い“保守的マインド”

特に食品業界では、

今の事業を続けながら、すぐに成果が出る策を探す

という発想が好まれがちです。

  • 会社の事業内容を大きく変える

  • 新しい市場に飛び込む

こうした“抜本的な改革”に踏み出す企業は少なく、
既存事業を少しだけ改善する方向に頼りがちです。


2代目・3代目経営者こそ気をつけてほしいこと

こうした構造に特にハマりやすいのが、2代目・3代目の社長です。

創業者のようにゼロから事業を立ち上げた経験がないと、

  • FAX DMを出せば…

  • チラシを打てば…

というような**“テクニック”に頼りがち**になります。

これは、主体的に事業の方向性を選んだ経験がないことが原因です。


私自身の経験から学んだこと

私も実はその一人でした。

“家業のあんこメーカー”に入り、
「入れる場所があったから入った」という理由でした。

義務感のような気持ちで入社した私は、
やがて自分から新しいことを始めようと決意し、あんこの通販事業を立ち上げました。

年間3億円規模にまで育ちましたが、やがて限界を感じました。

  • 製餡業界でNo.1になるのは難しい

  • 業界全体の売上キャパが小さい

と肌で感じ、

一度しかない人生、より可能性のある市場へ挑戦したい

と考え、今の事業に転身しました。


一つの業界にとどまり続けるリスク

もし、私があのとき「この業界でどうにかして生き延びよう」と考え続けていたら、
今のようなチャレンジの機会には出会えていなかったと思います。

もちろん、身の丈以上の挑戦は怖さもあります。
しかし、業界全体が落ちているときにこそ、あえてチャレンジすべきと強く感じています。


まとめ:専門コンサルを活かすには「見極め」が必要

コンサルタントには確かに功もあります。
即効性のある施策や、同業他社の事例を学べるのは大きなメリットです。

しかし、その“功”に頼りきってしまうと、
業界全体の構造的な問題を見逃し、取り返しのつかない状況に陥る可能性もあります。

ぜひあなた自身の事業において、

今いる業界で本当に可能性があるのか?
数年後を見据えて、他にチャンスがある市場はないのか?

といった、長期的な視点からの判断も忘れずに持っていただきたいと思います。

本日もお読みいただき、ありがとうございました

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