こんにちは、北條です。
もしあなたが、
これから事業を担う人を育てたい
経営者として、さらに高みを目指したい
とお考えであれば、ぜひ本日の内容をご覧いただければと思います。
今回お伝えしたいのは、「経験」の価値についてです。
経営者としての経験が重要であることは、誰もが理解していることだと思います。
しかし、最近お話しする後継者がいる経営者の方々の中には、
この「経験の重み」を過小評価されている方も少なくありません。
たとえば、
息子に迷惑をかけたくない
代替わりまでにすべてを整えてあげたい
という“優しさ”や“責任感”から、
**後継者にとって何より大切な「成長の機会」**を奪ってしまっているケースも見られます。
私自身の話をさせていただきます。
2010年頃、私は実家の家業「茜丸」に入りました。
このときの経験は、今の私の経営の土台をつくったといっても過言ではありません。
当時、たい焼きブームの真っ只中。
私たちも6坪の小さな店舗を南海電車・天下茶屋駅に出店しました。
市場調査を重ね、
客層のニーズに合わせた価格設定
持ち帰り需要に対応した包装
原価と味のバランスを突き詰めたレシピ(妻が考案)
など、半年かけて形にしていきました。
開店当初の感動は、今でも鮮明に覚えています。
最初のお客様がたい焼きを5個買ってくださった瞬間、心から感謝したのを覚えています。
そして、この経験が、
「自分で考えて、自分で事業を作る」という自信に繋がりました。
たい焼きショップは、わずか6坪ながら年商6,000万円・利益2,500万円を上げるほどのヒットに。
しかし、その後の展開が失敗でした。
ブームの終焉を見誤った
商品寿命の短さを軽視していた
FC展開を見送り、自社での多店舗展開を選んでしまった
これらの判断ミスにより、赤字経営に転落。
最盛期は1日25万円売れていたのが、最後には3万円台まで落ちました。
とても悔しい、そして苦い経験でした。
ただ、この失敗こそが、私の経営者としての感覚を磨く最大の学びになったのです。
たとえば、コロナ禍で「事業再構築補助金」が話題になったときも、
私は「この波は長続きしない」と感じて、すぐに農林水産省系の補助金支援事業に舵を切りました。
結果的に、補助金バブルの後に淘汰された多くの事業者の中で、
今でも生き残り、新たなチャレンジへと進むことができています。
この“スピード感”と“嗅覚”は、あのたい焼き事業の苦い失敗から得たものでした。
最近よく耳にするのが、
「息子に渡すまでに、すべて綺麗にしておきたい」
という言葉です。
この気持ちはとても素晴らしいと思います。
しかし同時に、それは後継者の成長機会を奪う可能性もあるのです。
多くの後継者は、整った環境の中で事業を引き継ぎます。
その結果、
臨機応変な対応力
変化の兆しを察知する嗅覚
自ら判断・決断する力
といった「経営者として最も重要な力」が育たないケースが少なくありません。
それは、「ゼロから何かを作った経験」がないからです。
もし、あなたが後継者をお持ちであれば、
**ぜひ早い段階で「事業をハンドリングする経験」**を与えてあげてください。
成功体験だけではなく、
自分で失敗した経験
自分で責任を持って判断した経験
自分で感動した初成約の記憶
こうした「生の経験」こそが、立派な経営者を育てていくと私は信じています。
私のたい焼き事業の失敗も、
補助金ビジネスでの判断も、すべては「経験」があったからこそ。
そしてこれは、後継者にも必ず必要なプロセスです。
失敗させないことが愛ではない。経験させることが愛だと私は思います。
それではまた、次回のブログでお会いしましょう。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
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