こんにちは、北條です。
最近、さまざまなことを考える中で、食品業界の流れが大きく変わってきていると実感しています。
今回は、これからの食品業界の方向性と企業に求められる視点についてお話ししたいと思います。
まず、最近の食品業界の現状として感じているのが、こちらの構図です。
人手不足によって供給量が不足している今、安定して商品を供給できる体制さえあれば、売上アップ自体は難しくありません。
しかし問題なのは、「利益」が残りにくいことです。
原材料や設備のコストが高騰する中、簡単に値上げもできず、利益アップの難易度はむしろ上がっているのが現実です。
これからは、「どう利益を残すか」という体制の構築がより重要になってきます。
もう一つ、最近注目すべき動きがあります。
それは、企業活動における「人権」への責任が重視され始めていることです。
たとえば、
M&A(会社売却)
下請けとの業務提携
などの局面で、「人権リスク」が評価対象になっているのです。
2021年、ユニクロのシャツに使われた綿花が、ウイグル自治区の強制労働に関わっているのではという疑惑が持ち上がり、アメリカで輸入差し止めになるという事態が起きました。
ここまで極端なケースでなくとも、日本でも類似の事例が起き始めています。
長時間労働への処罰
働き方改革の推進
食品の安全性や衛生管理の強化
など、従来「品質」に限られていた評価基準が、労働環境や人命にまで広がっているのです。
昭和の経営者には「従業員を使い倒してでも売れればいい」という価値観も少なくなかったように思います。
ですが、今の社会ではそのような考えは許容されなくなっています。
企業の社会的責任が問われる時代において、そうした姿勢はむしろ企業リスクになり得るのです。
さらに、最近はSDGsを背景に「環境への貢献」も企業に求められるようになってきました。
イオンでは、海洋資源保護の観点から「MSC認証」(持続可能な漁業による証明)をすでに導入。
環境への責任を果たす姿勢が、評価基準に組み込まれてきています。
茜丸にも、「アニマルウェルフェア」に関する問い合わせが来るようになりました。
家畜を快適な環境で飼育し、ストレスを軽減させるこの考え方は、今後ますますバイヤーの判断材料となっていくでしょう。
これからの5年、10年で、意識の高いバイヤーが増え、企業の「在り方」が問われる場面が増えることは間違いありません。
かつてユニクロは「高品質」「安い」「不良が少ない」という理由で選ばれていました。
しかし、いまではそれだけでは足りない。
企業としての「姿勢」や「考え方」――
つまり**企業の“在り方”**が、選ばれるための要素になってきているのです。
食品業界においても同じです。
今の時代、「どの商品もそれなりに美味しい」のが当たり前。
だからこそ、「この企業を応援したい」「ここで働く人が大事にされている」という共感ベースの価値観が、選ばれる基準へと変化し始めているのではないでしょうか。
現時点では、こうした価値観を取り入れているのはイオンのような一部企業に留まっています。
しかし、今後多くのバイヤーがその基準を取り入れていく可能性は高いです。
今後も事業を継続・拡大したいのであれば、この「企業の在り方」についての意識は避けて通れないテーマになるでしょう。
それでは、また。
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