こんにちは、北條です。
先日、タイの食品展示会「タイフェックス(THAIFEX)」の視察に行ってきました。
その中で、これからの食品メーカーの将来に関する大きな気づきがありました。
今回はその気づきを、皆さんに共有させていただきたいと思います。
いきなりですが、質問です。
タイで“高く”売られていた日本の食品って、どんなものでしょうか?
実際に目にしたのは、以下のような商品でした。
果物、高級フルーツ
和牛
高級魚介類(ホタテ、マグロ、ノドグロなど)
これらはすべて、いわゆる一次産品であり、
そして共通するのは「日本産だからこそ価値がある」という点です。
一方で、多くの日本の食品メーカーが手掛けている加工食品に関しては、
今後もずっと安泰…とは言い切れないな、と強く感じました。
理由は明確で、海外現地の生産力・加工技術が高まってきているからです。
たとえば、どら焼きを模したような商品がタイの市場で出回っていました。
正直、まだ味のレベルはそこまでではありません。
ですが——
10年後、20年後には日本の味に追いついてくる可能性が高い
と実感しました。
では、今後どのようなリスクが起き得るのでしょうか?
いくつかの視点からお伝えします。
最近、国内で工場の建て替えを行った会社があります。
その企業は、
オリンピック前の建築費高騰を予見し
補助金も活用しつつ
通常より3~4割安いコストで工場を完成させた
結果として、
高品質な商品を
低コストで
大量生産できる体制を構築
競争力が非常に高くなり、今とても好調な状態です。
なぜなら、将来的に日本で生産すること自体がリスクになると考えているからです。
その背景にある2つの理由を解説します。
東南アジアの食品メーカーは、今のところ質が高いとは言えません。
でも、30年後・40年後を想像してみてください。
人口が豊富
若くてエネルギーのある労働力が多い
生産技術が年々進化している
そんな国々で、安くて美味しい商品が次々に生まれてくる未来は、
決して夢物語ではありません。
そうなると、
日本への輸出が加速
国内市場も海外製品との競争にさらされる
という流れが生まれます。
つまり、今の国内競争で勝てていても、
それは“時間を稼いでいる”に過ぎないのです。
特に深刻なのが、小麦や砂糖などの原材料コストの高さです。
日本は、国内産業を守るために輸入規制がかかっており、
小麦・砂糖といった基礎的な原料の価格は、
海外と比べて150%〜180%高い
という状況になっています。
原材料が高い → 製造コストが高い → 販売価格が上がる
→ 国際競争力が落ちる
こうした構造的課題は、加工食品メーカーの長期的な経営に影を落とすことになります。
今後の食品メーカーが取るべき方向性は、主に2つです。
マーケティングの戦略として、
海外製品と同じ土俵で戦わないことが重要です。
つまり、
少量でも利益が出る
高価格帯・高品質な商品を提供
することで、「安い海外商品とは別カテゴリー」のポジションを築く方法です。
これは、企業規模はそのままで、利益率を上げていく方向性です。
逆に、コストの安い地域を活用する方法もあります。
海外で製造し、日本に輸入して販売
海外で製造し、現地市場で販売
グローバルサプライチェーンを活用することで、
企業としての持続性や成長のチャンスが広がります。
これは、企業規模を拡大させて生き残る戦略です。
過去数十年で、日本国内の物流は飛躍的に進化しました。
地方でしか買えなかった商品が全国で流通
全国の企業同士で比較されるようになった
そして次は、日本と海外が比較される時代です。
そうなると、企業に求められる基準もグローバルになります。
今、どれだけ順調でも、
30年後を見据えたビジネスモデルを持っているかどうかが問われる時代になっています。
タイでの視察を通じて、
改めてその必要性を強く感じた次第です。
今こそ、未来を意識した戦略転換を。
本日もお読みいただきありがとうございました。
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