こんにちは。
アカネサス代表の北條です。
このシリーズでは、
なぜ“いい商品”や“いい仕事”が売れないのか?
という問いを、構造的に解きほぐしていきます。
今回はその第2回として、食品業界を題材に考えます。
前回は、
「品質は、もはや差別化にならない」
というテーマを扱いました。
丁寧に作った。
こだわり抜いた。
想いを込めた。
それだけでは、選ばれない時代になっています。
重要なのは、
品質をどう構造化するか
ということです。
つまり、
どう導入されるのか
どう評価されるのか
なぜ他社ではなく、あなたの会社なのか
という、外側の仕組みがあるかどうかが問われています。
食品メーカーから、私は何度もこう聞いてきました。
「うちは味には自信があるんです」
けれど現実には、
味がよくても売れず、競合に負ける。
なぜか。
それは、
“味”という評価軸が、すでに選定要因ではなくなっているからです。
たとえば、私の実家である
大阪の製餡メーカー「茜丸」。
どれだけ品質の高いあんこを作っても、
あんこはどれも茶色く、甘く、似て見えます。
お客様からすれば、
「どこも同じ」
に見えてしまう。
その中で、私たちはある判断をしました。
「商品の中身」ではなく、
「買いやすさの構造」で差をつけよう
と。
私たちが再設計したのは、
商品の品質そのものではなく、
導入の構造でした。
具体的には、次のようなものです。
小ロット対応
さくらあん、紫芋あんなども含め、1kgから購入可能
多品種+即納
常時30種類以上を即納体制で用意し、問屋より柔軟に対応
レシピ提案
100種類以上の用途提案で、「新商品が作れる」導入支援を実施
利便性
問屋では対応しにくい小回りと直送性を整備
文脈設計
どんなメニューに、どう使えるかまでパッケージで提示
この再設計のポイントは、
「あんこを売る」のではなく、
「新商品を作る支援」として提供すること
でした。
その結果、
「あんこなら茜丸」と言われるのではなく、
「茜丸のあんこなら、メニュー提案までついてくる」
という評価が生まれました。
これは、味だけでは到達できなかった価値です。
さらに言えば、
いまのコンビニ和菓子の完成度は非常に高いです。
大福のような定番品も、専用機械を使って、
安定した品質
食感
形状
を維持しながら量産されています。
大量購買によるスケールメリットもあるため、
和菓子専門店より良質な素材を安定的に使っている場合もあります。
つまり、
“味”や“素材の質”だけで勝つのは、ほぼ不可能な時代
だということです。
では、何で勝つのか。
答えは、
文脈とストーリー、そして選ばれる構造
です。
たとえば、
なぜこの商品が存在しているのか
誰に向けて作られているのか
売場でどう使われ、どう評価されるのか
それを語れる背景や物語があるか
こうしたものが、
商品の選ばれ方を決めていきます。
コンビニに出せないのは、
共感される背景と
選ばれる文脈です。
食品業界における構造とは、たとえば次のようなものです。
買いやすさ
ロット、納品、使いやすさ
導入理由
レシピ、用途、売場設計
語れるストーリー
なぜ今、誰が、どう作ったのか
大事なのは、
味や素材といった中身だけではありません。
外側の構造と文脈をどう設計するか
これが、
今の食品業界における構想の核心です。
次回は、
「建築業界における“構造の言語化不全”」
をテーマに扱います。
設計思想が伝わらない。
安く叩かれる。
標準仕様に飲み込まれる。
その背後にある、
構造の欠落を掘り下げます。
── 北條竜太郎
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