2026.11.04

【1】昨年のFOOMA、私が会場で立ち尽くした理由【全9回】

こんにちは。

株式会社アカネサスの北條です。

本日から全9回にわたり、食品業界の皆さまにぜひ知っていただきたいテーマについてお届けします。

2025年6月、東京ビッグサイトで開催されたFOOMA JAPAN。

私は会場で、ある光景を目の当たりにし、しばらくその場を離れることができませんでした。

ロボットアームが、ひじき煮をトレイへ盛り付けていたのです。

ポテトサラダ。

きんぴら。

白和え。

私はその前で約5分間、立ち尽くしていました。

隣に立っていた見知らぬ工場長も、同じように黙って見つめていました。

二人とも、何も言葉が出なかったのです。

私がその場で動けなくなったのは、感動したからではありません。

むしろ逆でした。

「ついに、この技術が中小の食品工場にまで降りてきた」

その事実に恐怖を覚えたのです。

「これだけは自動化できない」が崩れた瞬間

私が見ていたのは、コネクテッドロボティクスのブースでした。

ロボットが扱っていたのは、不定形の惣菜です。

形がバラバラ。

重さも一定ではない。

柔らかく崩れやすい。

食品工場では長年、

「これだけは機械に置き換えられない」

と言われ続けてきた工程です。

しかし、そのロボットは1時間あたり400食を、重量精度±4〜7グラムという精度で黙々と盛り付けていました。

さらに、キャスター付きで1人でも移動可能。

既存ラインへそのまま設置できます。

すでにマックスバリュ東海の惣菜工場へ4台導入済み。

経済産業省のロボット大賞も受賞しています。

担当者はこう話しました。

「中小規模の工場でも十分ペイします」

私は一度ブースを離れました。

しかし、どうしても信じられず、再び戻って確認しました。

「本当に現場で使えるんですか?」

担当者は笑顔で答えました。

「本当です」

隣のブースでも、その隣のブースでも

衝撃はそれだけではありませんでした。

アールティのブースでは、フライヤーへの冷凍食品投入を自動化するロボット「minite」が展示されていました。

高温環境。

油煙。

やけどリスク。

食品工場でも特に過酷な工程の一つです。

価格は約800万円(税別)。

しかし補助金を活用すれば、実質負担は半額以下になる可能性があります。

さらに山善の「YZ-ROUND-SCAN」。

特殊レンズとAIを組み合わせ、1台のカメラで360度全周を検査します。

  • 噛み込み
  • 印字ミス
  • シールずれ
  • ピンホール

これら4項目を1台で検査でき、従来比40%の省スペース化も実現しています。

そして別のブースでは、大阪王将の事例を耳にしました。

AI画像検査システムを導入した結果、

1パック12個入りの餃子を1秒で検品できるようになり、生産量が2倍になったというのです。

人間なら何十秒もかかる検査が、AIには0.1秒もかかりません。

FOOMAの空気が変わっていた

FOOMA2025のスタートアップゾーンには30社が出展していました。

そのうち18社がAI・IT・IoT関連企業。

全体の60%がデジタル技術系企業です。

出展社数は過去最多の1,007社。

来場者数は4日間で110,827人。

海外からの来場者も4,569人に達しました。

5年前のFOOMAとの大きな違いは何か。

それは、

「機械を売る会社」と「ソフトウェアを売る会社」が同じフロアに並んでいること」

です。

設備を導入するだけではありません。

設備を導入しながらデータを取得する。

その考え方が当たり前になっていました。

農林水産省の推計では、フードテック市場は2020年の24兆円から2050年には279兆円まで拡大するとされています。

その巨大な変化が、いま食品製造の現場まで到達し始めています。

かつては大企業しか導入できなかった技術が、中小企業でも使える価格帯まで下がってきました。

設置のハードルも下がりました。

補助金という後押しもあります。

環境は確実に変わっています。

私が本当に怖いと思った理由

会場で隣に立っていた工場長が、最後にこうつぶやきました。

「これ、知らないままでいたら、気づいたら差がついてたってやつですよね」

まさにその通りだと思いました。

技術革新の怖さは、劇的な変化ではありません。

静かな蓄積です。

今年FOOMAに来た会社と、来なかった会社。

その差は今年の時点では小さいかもしれません。

しかし3年後、5年後に振り返ったとき、その差は取り返しのつかないものになっている可能性があります。

FOOMA JAPAN 2026は、2026年6月2日から5日まで東京ビッグサイトで開催されました。

テーマは、

「The Shift is On.」

――変化は、もう始まっている。

という宣言です。

詳細は本連載の第9回でご案内します。

次回予告

第2回「50人の工場が、43人で回さなければならない日」

「急に人が来なくなる」

そんなことは、ある日突然起こります。

私自身、3週連続でそれを経験したことがあります。

次回は、その生々しい体験とともに、

50人の工場が43人で回さなければならなくなったとき、現場で何が起こるのか。

具体的な数字を交えながらお話しします。

── 株式会社アカネサス 代表取締役 北條竜太郎

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