こんにちは。
アカネサス代表の北條竜太郎です。
今回も引き続き、シリーズ
「再設計する経営──“社長であること”の呪縛を超えて」
をお届けしています。
前回は、ある広告代理店の社長が
**「全社員が辞める」**という出来事をきっかけに、
「自分がいなければ成り立たない会社をつくっていた」と気づいた話を紹介しました。
今回はその続編です。
立て直しを決めた社長が最初に取り組んだのは、
「自分をあらゆる業務の出発点にしない」構造への転換でした。
それまで彼は、
売上管理・提案・採用・意思決定──
あらゆる工程を自分で見ていたといいます。
「全部見てないと不安だった。社員に任せると崩れる気がして。」
しかし、ある瞬間、気づいたそうです。
「自分が“組織のボトルネック”になっていた。」
そこから彼は、徹底的に業務を洗い出しました。
そしてすべてを文書化・可視化し、こう定義したのです。
「誰が、どの基準で、どこまで判断してよいか。」
口頭文化をやめ、
感覚的な判断をルールへと落とし込む。
それは、「社長をやめる」というよりも、
“社長という機能”を再設計する作業でした。
最初のうちは、社員も戸惑いました。
「本当に任せていいんですか?」という不安の声もあった。
それでも、徐々に変化が訪れます。
社員たちは自分の判断で動き始め、
報告は簡潔に、相談は減り、
成果のスピードが上がっていった。
「動かない方が成果が出る。動かない方が社員が育つ。
そう思えたとき、初めて“社長じゃなくてもいい”と思えたんです。」
この言葉は、単なる「任せる技術」ではなく、
経営者の内面的構造の変容を語っています。
多くの経営者は、
「手放した方がいい」と頭では分かっています。
でも、実際には手放せません。
なぜか。
それは、“社長でいること”が自分の存在価値になってしまうから。
つまり、手放すことは「自分を失う」ことに感じてしまうのです。
だからこそ、
「社長という機能を、自分から引きはがす」作業は、
実務よりも精神構造の再設計なのです。
経営の現場には、
数字では測れない「見えない筋肉痛」のような負荷が存在します。
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1. リスクの引受け
社員の生活、借入、自分の将来──すべてを背負う。
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2. 判断の孤独
最終決定は常に自分。相談できる相手がいない。
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3. 感情のコントロール
不安でも笑顔でいなければならない場面が続く。
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これらの負荷は、
「社長ってこんなもんか」と思うほどに蓄積していきます。
でも、それは弱さではありません。
本質に向き合うためのサインです。
経営者の前には、いくつもの「壁」が現れます。
社員数の壁:3人・10人・20人
売上の壁:3,000万・1億・3億・10億
これらの壁は、単なる数字の問題ではなく、
構造・役割・情報・関与度の再構築を迫るタイミングなのです。
つまり、壁とは「限界」ではなく、
“これまでのやり方を超えられるか”の通過点。
それを超えたとき、ようやく次の地平に立てるのです。
次回の最終回では、
この社長が再設計の果てに見出した言葉──
「仕事を遊びで埋め、遊びを仕事で埋める」
この一見矛盾したフレーズの中にある、
“経営を生き直すための構造”を解きほぐします。
それではまた、次回の投稿で。
北條竜太郎
アカネサス株式会社 代表
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