こんにちは、北條です。
御社では、すでにHACCP認証を取得されていますか?
HACCP認証の取得について社長さんとお話しする機会がよくありますが、「HACCP」という言葉について誤解されているケースが非常に多いと感じます。
そこで今回は、HACCPについて正しく理解していただくための基本情報と、これからの食品業界における重要性についてお話ししたいと思います。
意外と知られていませんが、HACCP(ハサップ)はアメリカのNASAが考案した仕組みです。
宇宙空間では、病院がありません。宇宙飛行士が食中毒を起こすと致命的な事態になりかねないため、食品の安全性をより高いレベルで担保する必要がありました。
そこで、従来の「抜き取り検査」ではなく、食品の製造過程における重要な管理ポイントごとに衛生状態を管理する仕組みとして、HACCPという考え方が誕生したのです。
よく混乱されるのが、「HACCPの考え方」と「HACCPの認証規格」の違いです。
HACCPの考え方:衛生管理の手法(管理体制)
HACCPの認証規格:FSSC22000、ISO22000、JFS-B、JFS-Cなどの“取得できる証明書”
2021年には、HACCPの導入が義務化されましたが、これは考え方としてのHACCPの導入が義務化されたものであり、認証取得までは義務化されていません。
現場の感覚として、HACCPの認証を取得している飲食店はほぼゼロに近いです。
食品工場でも、まだ半分程度。FSSC22000やISO22000といった国際的な認証を取得している企業は、食品メーカー全体で見れば1〜2%程度に留まっている印象です。
私は仕事柄、アジアの食品展示会にもよく足を運びますが、ほとんどすべての出展企業が国際規格のHACCPを取得しています。
日本では「アジア=後進国」という印象が根強いかもしれませんが、食品業界における認証の取得率で言えば、むしろ日本の方が後れを取っていると感じます。
これまでの訪問経験を通して、HACCP認証を取っていない企業にはある傾向があります。
それが、
直営店で販売を完結させている
百貨店のテナントとして出店している
といったケースです。
理由は明白で、「取引先や顧客から認証を求められていない」ためです。
ですが、これは大きなリスクです。実際には、年商100億円を超えるような企業でも、HACCPの考え方は取り入れていても、認証までは取得していないケースが多いのが現状です。
展示会の現場を見ていても感じますが、グローバルに展開する企業ほどHACCP認証をしっかり取得しています。
海外では、商談の際に工場を視察することが難しいケースが多く、認証そのものが「信頼の証」になっているのです。
これまでは地元の取引先だけを相手にしていた企業でも、冷凍便の普及や、流通企業のM&Aによる統合によって、商圏が広域化・大手化してきています。
今後、より多くの企業と取引するには、客観的な信頼性を示すための「認証」が必要不可欠になっていくでしょう。
最近では「急に取引先からHACCP認証の取得を求められた」という相談も増えています。
ですが、実際の取得には早くて8ヶ月、平均で1年程度かかります。
その間、受注できない状況になってしまうこともあるため、将来的に大きな取引先とビジネスをしたいと考えている場合は、早めの準備が大切です。
「HACCPの取得には設備投資が必須」 「かなりお金がかかる」 「難しそう…」
そう思っている方も多いですが、実はすべて勘違いです。
次回のブログでは、これらの“誤解”を解いていきたいと思います。
それではまた。
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