こんにちは。
アカネサス代表の北條竜太郎です。
シリーズ最終回となる今回は、
いよいよ後継者が“叩き上げ”に勝つための戦略を
具体的に描いていきます。
キーワードは、
「語れる力」と「浸透する言葉」。
暗黙知を観察して盗むだけでは足りません。
**“再編集して語れる人”**こそが、
組織の空気を変える存在になります。
現場の判断力、察知力、空気を読む力──
それらは、言語化されていないがゆえに
“神格化”されやすいものです。
けれど後継者は、それにひるんではいけません。
むしろ、「なぜそれができるのか?」を分析し、
“言葉にして渡す”ことこそが後継者の役割です。
たとえば、次のように問い直してみてください。
なぜAさんはこのタイミングで判断できたのか?
なぜB工場では、この設備だけ稼働が安定しているのか?
なぜC営業所では顧客離れが起きないのか?
現場にある“言語化されていない成功”を丁寧に分析し、
「見える言葉」に変えることで組織全体の地力が上がる。
後継者の使命は、経験を体系化することにあります。
人は、“わかっている人”ではなく、
**“わかっていることを語れる人”**についていきます。
いくら現場経験があっても、
言葉にできなければ属人的なスキルのままです。
逆に、盗んだ知を自分の言葉で語り直すことができれば、
説得力と影響力は格段に上がります。
「この冷蔵庫は、見た目より温度回復が遅い。だから搬入順を変えています」
「Aラインは夜勤になると音で判断が鈍るので、感覚ではなく数値で見ています」
「このお客様、言葉では“検討します”と言うけれど、目線が変わった瞬間に脈がないと判断します」
こうした“現場語り”ができるようになると、
後継者の存在感は一気に変わります。
言葉を持つ人は、現場に“意味”をもたらす人になるのです。
再現性のある後継戦略とは、
この3段階のサイクルを意識的に回すことです。
| 段階 | 目的 | 実践例 |
|---|---|---|
| 語る | 盗んだ暗黙知を自分の言葉で整理する | 観察や経験を「なぜそうしたか」として語る |
| 伝える | チームで共有し、“なぜそうするのか”を示す | 朝礼や報告書で実例と意図を共有 |
| 浸透させる | 小さな成果を積み重ね、現場の常識を更新する | 新ルール・改善点を少しずつ定着させる |
このサイクルを回すことで、
「外様」だった後継者が、“知の中心”へと変わる。
私たちはつい、「知識を得る」とは
情報が増えることだと思いがちです。
けれど本当は違います。
「知る」とは、自分と世界の関係性が変わること。
たとえば──
ただの機械の異音が、ある日「事故の前兆」に聞こえるようになる。
いつもの顧客の沈黙が、「危険信号」として感じられるようになる。
これは、知識が身体に沈み込み、
暗黙知となった瞬間です。
哲学者ハンス=ゲオルク・ガダマーはこう言いました。
「理解とは、世界と私のあいだに生まれる新しい地平だ。」
後継者が現場を“知る”ということは、
単に情報を集めることではなく、
「世界の見え方が変わる」――その瞬間を生きることです。
見え方が変われば、言葉が変わる。
言葉が変われば、組織が変わる。
そして、そこから始まるのが──
新しい地盤の上に立つ後継者のリーダーシップ。
株式会社アカネサス
北條竜太郎
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