こんにちは、北條です。
今回は、**食品工場の「違法建築リスク」**について取り上げたいと思います。
ここ最近、食品工場が「違法建築」に該当してしまっているケースが全国で多発しています。
つい先日も、こんなニュースがありました。
中日新聞 2023年1月20日より
都市計画法違反により、浜松のあるベーカリーが営業継続を断念。
建築違反が明るみになり、行政指導を受けて業務停止命令目前で撤退に至ったとのこと。
このような事例は他にもあります。
過去には有名食品メーカーの工場火災において、建築確認申請を行っていない増築部分が事故の一因とされ、死亡事故にまで発展。
以降、県内の複数の工場にも消防署の臨時検査が入り、建築確認済証の提出を求められる事態となりました。
古い工場ほど、無許可の増築や法改正への未対応が見られます。
「昔からあるから既得権益で問題ないでしょ」と思いがちですが、それは誤解です。
実際は、「たまたま指摘されていないだけ」であり、告発や事故、行政の方針変更などの“きっかけ”ひとつで突然営業が止まる可能性があります。
食品メーカーで特に注意してほしいのが、以下の4つのポイントです。
例:市街化調整区域に工場を建てている
都市計画法(昭和43年制定)により、土地には「住宅用」「工業用」などの用途が定められています。
特に、「第一種・第二種低層住居専用地域」では、工場として使える面積は50㎡(約15坪)以下に制限されており、実質的には工場建設不可です。
古い工場が都市部の住宅地にある場合、このリスクは非常に高くなります。
例:建築確認を取らずにプレハブや作業場を増築
既存建物に増築する際は、建築確認申請が必須です。
しかし、実際には無許可で増築してしまっているケースが多く、申請を出すにも構造や杭の深さなどの調査費用がかかります。
その結果、「減築(=撤去)」せざるを得ないケースも発生します。
例:敷地いっぱいに工場を建ててしまった
一般的に、建ぺい率(敷地面積に対する建物の面積)は60%程度が上限です。
これを大幅に超えて建築していると違法になり、こちらも減築命令→生産性の低下につながります。
例:生産量が増えて排水量が基準を超えてしまった
排水基準は年々厳しくなっています。
とくに揚げ物や惣菜製造の現場では、当初の許可以上の排水が出てしまっているケースが多く、知らず知らずのうちに違反状態に陥っている可能性があります。
残念ながら、違法部分が見つかった場合、多くのケースでは「撤去・減築」が求められます。
調査・許可取得・再建築などにかかる費用と時間は想像以上で、最悪の場合は事業継続が困難に。
だからこそ、「今のうちの状態はどうなのか?」を早めにチェックしておくことが、将来のリスク回避につながります。
古い工場こそ「知らぬ間に違法建築」になっている可能性あり
増築・改築や用途地域の見直しをせずに長年営業していると、突然の指導リスクが高まる
放置せず、早期に専門家と相談し「合法化」もしくは「移転計画」を
これらの問題は、事業の信頼性にも直結します。
ぜひ一度、建築士や行政書士などの専門家とともに、自社の工場の状態をチェックしてみてください。
それでは、またブログでお会いしましょう。
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