2025.11.21

「社長=職人」では勝てない時代

はじめに

こんにちは、北條です。

我々のような中小食品メーカーでは、社長自身が職人であるケースが非常に多いと感じます。

かつては、
「美味しい食品=売れる時代」でした。

だからこそ、職人として“味の追求”に情熱を注ぎ、技術を磨き続けてきた方も多いでしょう。

しかし残念ながら、今の時代は「職人」であるだけでは勝てない時代に突入しています。


職人の価値が高かった「昔」

職人の価値が下がった「今」

かつて食品が貴重だった時代は、高い技術そのものが価値でした。
「他にはない美味しさ」や「職人の手仕事」だけで、お客様が自然と集まり、商品は売れていきました。

ところが現代は大きく違います。
インターネットの普及によって、
誰でも・どこでも・いつでも、
“美味しいものを作る技術”にアクセスできるようになったのです。


技術は「お金で買える」時代へ

例えば──

  • 機械メーカーの研修を受ければ、短期間で専門技術が身につく

  • ネットで検索すれば、専門家やレシピ情報がすぐ手に入る

  • 「ビザスク」などのサービスで、業界のエキスパートにスポット相談できる

つまり、かつて長年の修行でしか得られなかった技術が、今ではお金で簡単に買える時代になりました。

その結果、「技術」だけでは市場で差別化できなくなっているのです。

「美味しいものを作れる」だけでは、もはや勝負にならない。

今の時代に求められるのは、
【社長=職人】ではなく【社長=経営者】という視点です。


今の時代で勝つために必要なもの=「経営者視点」

では、現代において勝ち続けるために必要なものは何か?

結論から言えば、

「モノを作る力」ではなく、「お客様が欲しくなる形に“見せる力”」です。

つまり、経営者視点が欠かせません。


36円のどら焼きと390円のどら焼きの違い

先日、業務スーパーでどら焼きを見て驚きました。
なんと1個36円。

一方で、「日本一高いどら焼き」と言われる浅草の亀十さんのどら焼きは、1個390円。

その差は実に10倍以上。
それでも、亀十さんの店には行列が絶えません。


「美味しい」だけで価格差は生まれない

もちろん、味の違いはあります。
ですが、390円と36円の価格差を味だけで説明するのは難しい

今やコンビニのどら焼きも驚くほど美味しく、大手メーカーは大量生産によって原価を抑えながら高品質を実現しています。

つまり、「味」だけで戦う市場では、どこも強い。

それでも亀十さんにお客様が殺到する理由。
そこに、これからの食品メーカーが学ぶべき“本質”があります。


高価格でも売れる理由は「パッケージ」にある

亀十さんの成功の秘密は、「美味しさ」そのものではなく、“パッケージ”の設計力にあります。

ここで言う「パッケージ」とは、
単なる包装やデザインではなく、
商品価値を多面的にまとめ上げる見せ方・体験設計のことです。


亀十が提供している“価値のパッケージ”

  • 「浅草の老舗」というブランドストーリー

  • 「特別な手土産」としての社会的ステータス

  • 「思い出や体験」に結びつく感情的価値(浅草を思い出す、誰かに渡す喜び)

お客様は、「味」だけでなく、これらの要素すべてを一つの“体験”として購入しているのです。

たとえば、ディズニーランドやUSJでは、
外では数百円で買えるものが1,000円以上で売れます。
これはまさに「パッケージ化された価値」の力です。


経営者の仕事は「パッケージを作ること」

多くの食品メーカーでは、社長が職人として現場に立っています。
しかし、これからの時代に求められるのは「経営者」としての発想です。

経営者の仕事とは、

磨き上げた技術を、どう見せ、どう届けるかを設計すること。

言い換えれば、

「機能」を「価値」に昇華させることが経営者の役割です。


弊社アカネサスの事例

例えば、弊社が行っている「補助金サポート業務」も同様です。
単に補助金の申請を代行するだけなら、安く請け負う業者はいくらでもいます。

しかし私たちは、

  • どんな事業をすべきか?

  • 補助金採択後にどう経営を改善すべきか?

  • どんな工場設計・設備投資が最適か?

  • どうマーケティングまで繋げるか?

といった事業全体の成功設計を含めた「パッケージ」で支援しています。

だからこそ、そこに「高い価値」を感じていただけるのです。


食品メーカー経営も同じ構造

食品メーカーも同じです。
技術や味を磨くだけでなく、

  • どういうコンセプトで

  • どんなパッケージで

  • どんな体験価値として届けるのか

を設計できるかどうかが、今後の明暗を分けます。


まとめ:これからの社長に求められるもの

現代は、「職人社長」が通用しなくなった時代です。

これからの社長に必要なのは、

  • 経営者視点での価値設計

  • 技術を“体験”に変える発想

  • 機能を価値に統合する力

つまり、美味しさを“売れる形”に変える力です。

「パッケージ思考」を持つことが、
これからの食品メーカーが生き残るための最大の鍵になるでしょう。

ぜひ、今日から意識してみてください。

北條

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