こんにちは、北條です。
今回は、日本の食品業界における利益率の低さについて深掘りしてみたいと思います。
前回の記事では、私がスーパー本部への営業時に、年商50億〜100億規模の大手食品メーカーの営業担当者と話した体験をご紹介しました。
その中で感じたのが、「大企業だからといって潤っているとは限らない」という事実です。
確かに、経営者はそれなりに収入があるかもしれませんが、社員の給料は一般的で、会社全体としてもさほど潤っていない印象を受けました。
「なぜなのか?」
その理由を、今回はデータを交えて見ていきましょう。
まずはこちらのデータをご覧ください。
👉 日本M&Aセンター「食品企業の利益率比較」
この資料では、日本の食品企業の営業利益率の平均が約9.5%とされています。
たとえば伊藤園はわずか3.7%。
これは、世界的に見ても極めて低い数字です。
一方、海外の食品メーカーの利益率を見てみると、平均でも20%前後。
高いところでは50%以上、中には60%を超える企業も存在します。
特筆すべきは、中国の白酒ブランド「Kweichow Moutai(茅台酒)」。
その営業利益率はなんと**67.4%**にものぼります。
価格も1本5万円〜6万円と高額ながら、しっかり売れている。
ここには明確な理由があります。
茅台酒のような商品が高額でも売れるのは、ブランド力が圧倒的だからです。
たとえば、Nestléも営業利益率17.4%と高水準ですが、
日本で販売されているキットカットも、「この価格でも当然」と思わせる消費者認知の形成に成功しています。
つまり、「高くても売れる」ための土台を作れているのです。
これがまさにブランディングの力です。
日本でここまで利益率が低くなってしまう背景には、ブランディング以外にもいくつかの理由があります。
日本の食品メーカーは、自社で売る力(営業力)が弱く、流通に頼る傾向が強いです。
スーパーに商品を卸す
下請けに依存する
こうした流れの中で、自社が取れる利益がどんどん削られていく構造になってしまっています。
最近では、生産者側の交渉力が下がってきています。
スーパー側から、
「うちに置くなら、この価格で売れる商品を作ってください」
という依頼が来ることも珍しくありません。
結果として、
価格の上限が固定される
高品質な商品を作れない
魅力ある商品を提供しづらくなる
という負のスパイラルが生まれています。
たとえば水産業などでは、魚の形がバラバラなため機械化が難しく、手作業に頼らざるを得ないという問題もあります。
これにより人件費が膨らみ、結果として利益率が下がるという構造ができあがってしまっています。
日本の食品業界が低収益に陥っている主な要因は、以下の3つです。
生産性の低さ
複雑な卸・サプライチェーン構造
ブランディング力の差
僕自身、この問題を何とかしたいと考え、日々情報を発信しています。
少しでも多くの食品企業が、健全な利益を確保し、従業員にも還元できるような業界を目指していきたい。
利益率改善については、また別の機会に詳しくお話しします。
それでは、また次回。
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