こんにちは。
アカネサス代表の北條です。
これまでの回では、
第1回:「未来の不安は過去の影」
第2回:「脳は不安を増幅させる」
第3回:「失敗を資産に変える」
についてお伝えしてきました。
今回は第4回──
「不安に飲まれない経営者の習慣」
をテーマにお話しします。
経営者は、常に情報にさらされています。
ニュース
社員の声
顧客の反応
金融機関からの連絡
しかし、いざ危機に直面したときに問われるのは、
情報の多さではありません。
重要なのは、
不安に陥ったとき、そこからどう心を戻せるか
です。
不安とは、
まだ起きていない未来を、頭の中で拡張すること
です。
例えば、
「資金が尽きるのではないか」
「幹部が抜けて組織が崩れるのではないか」
「取引先が契約を打ち切るのではないか」
これらはすべて、
現時点では“事実”ではなく、“想像”です。
しかし、この想像に飲み込まれた瞬間、
経営判断は歪みます。
不安は消せません。
だからこそ必要なのは、
不安を消すことではなく、そこから戻ること
です。
つまり、
【未来】に引きずられるのではなく
【今この瞬間】に意識を戻す
この習慣こそが、経営を守ります。
資金ショート寸前で銀行に駆け込んだとき、
担当者の一言に動揺し、判断が揺らぎました。
あのまま焦りに任せて条件を呑んでいれば、
会社は確実に詰んでいたと思います。
そのとき私を救ったのは、
情報ではなく、たった一度の深呼吸でした。
「今、数字はどうか」
「今、打てる手は何か」
“今ここ”に戻った瞬間、
交渉の主導権を取り戻せました。
地震で工場が止まったとき、
現場には一気に動揺が広がりました。
このとき、
トップが乱れれば、組織は一瞬で崩れます。
私はまず呼吸を整え、
「人命は守られているか」
「復旧の優先順位は何か」
と「今」に戻り、指示を出しました。
すると、不思議なほど現場の空気が落ち着いた。
冷静さは伝染します。
信頼していた幹部が突然退職を申し出たとき、
頭の中には「組織崩壊」の映像が流れました。
しかしここでも、一度立ち止まりました。
「残る人材は誰か」
「今ある体制で何ができるか」
未来ではなく「現在」に目を戻したことで、
組織を再編し、結果としてより強い体制を築くことができました。
危機に飲まれる経営者は、
会社ごと沈みます。
一方で、
未来への不安から「今ここ」に戻れる経営者は、
会社ごと生き延びる。
この差は、能力ではありません。
習慣です。
シンプルですが、効果の高いものだけを挙げます。
「今日もここまで来た」と確認する
机に手を置き、「今ここ」と心で唱える
「今日のベスト判断は何だったか」
これだけで、
不安に飲まれる頻度は確実に減ります。
次回は、
「未来は一つじゃない:複数シナリオの経営術」
不安の正体は、
「未来を一つに固定してしまうこと」
です。
複数の未来を持つことで、
視界を広げる方法を解説します。
倒産・破産を経験して分かったことがあります。
不安は消えません。
しかし、
不安に飲まれない状態はつくれる。
金融交渉でも、
災害でも、
幹部の離職でも──
崩れるか、生き残るかは、
「その瞬間に戻れるかどうか」
でした。
呼吸と習慣だけで、
経営の安定性は大きく変わります。
── 北條竜太郎
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