こんにちは、北條です。
これからの食品業界において、大きな課題のひとつが
「味」以外でどう差別化するか?
というテーマです。
今日はこのテーマについて、今後の可能性を含めてお話したいと思います。
理由は主に3つあります。
今やどの会社も、ある程度美味しい商品を作る技術を持っています。
そのため、市場に出回っている食品の多くが、
「まあまあ美味しい」
「普通に美味しい」
「すごく美味しい」
という、ほんのわずかな差しかなくなってきました。
近年は、
「美味しいものを時間をかけて買いに行く」よりも、
「近場でそこそこ美味しいものを手軽に買う」
という消費行動が主流です。
つまり、味よりも利便性が優先される場面が増えているのです。
ネット通販では試食ができないため、味そのものでは商品の魅力を伝えにくいという課題があります。
たとえば健康食品であれば、
「膝に効く」
「痩せる」
「体に良い」
といった機能訴求が可能ですが、一般的な食品はそうはいきません。
このような背景から、味以外の差別化要素がますます重要になってきているのです。
では、どうすれば味以外で差別化できるのか?
答えは、
特定の需要に“絞り込む”ことで、選ばれる“理由”を明確にすること
です。
たとえば、
SDGsに配慮した商品
ヴィーガン対応食品
購入すると寄付が行われる商品
など、“誰か”に強く刺さる**「理由づけ」がある商品設計**がカギになります。
ここで一つ、具体的な差別化戦略の例をご紹介します。
それが、「防災食」です。
防災食は、2011年と比較して2024年には市場規模が倍増しています。
今、非常に注目されている分野です。
これまでの防災食には、次のような課題がありました:
賞味期限が長すぎて、気づけば期限切れ
味がパサパサ、いざという時に食べたくない
これにより、備蓄したまま手をつけず、結局無駄になるという問題が多発していました。
最近では、この問題を解決するビジネスモデルが登場しています。
それが、「防災食のサブスクリプション型通販」です。
東京都港区の有限会社オリエンタルデリが展開する「Bimistock」は、
3ヶ月ごとに防災食を届けるサブスクリプション型サービスです。
従来のような5年単位のサービスと違い、短いサイクルでの買い替えを促進しています。
① 常に美味しく、フレッシュな状態で備蓄可能
定期的に新しい商品が届くため、古くなる前に食べて、新しいものに入れ替えられます。
② 賞味期限切れの心配が少ない
備蓄の鮮度が保たれ、「いざという時に食べられない」事態を回避できます。
① 継続的な売上が確保できる
1回売って終わりではなく、定期的なリピートによって安定した収益モデルが築けます。
② 長期保存不要、既存設備で生産可能
3ヶ月サイクルであれば、6〜10年の賞味期限は不要。
つまり、高価な設備がなくても、既存のレトルト設備で製造が可能です。
レトルト食品を作っているメーカーなら、新規投資なしで横展開が可能なモデルです。
今回ご紹介した「防災食サブスク」は、“味以外”で差別化する戦略の一例です。
味だけで戦う時代ではなくなりつつある今、ぜひ自社の商品にも
「味以外で選ばれる理由はあるか?」
を問い直してみてください。
私もこの分野の動向は、今後も継続してウォッチしていこうと思います。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
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