2025.12.24

なぜ“あの人”には敵わないのか? 叩き上げに勝てない理由と後継戦略

こんにちは。
アカネサス代表の北條竜太郎です。

今回は特別シリーズ
「叩き上げに勝てない理由──“知の質”で逆転する後継戦略」
を3回に分けてお届けします。

本シリーズでは、食品メーカーをはじめとする中小製造業の
経営者・後継者の方に向けて、

現場で圧倒的な存在感を持つ“叩き上げ層”とどう向き合い、
どうすれば構造的に逆転できるのか──
そのヒントを「知の構造」という視点から読み解いていきます。


なぜ“あの人”には敵わないのか?

後継者として会社に入ると、最初にぶつかるのは**「現場の壁」**です。

特に、長く現場に根ざしてきた叩き上げの社員たち。

  • 空気を読み、流れを変える

  • 多くを語らずとも部下から信頼される

  • しかめ面ひとつでチームが動く

──そんな“あの人”に、あなたは勝てますか?

冷静に見れば、彼らは単なる「現場人材」ではなく、
**“現場を生き残った超エリート”**なのです。


「生存者バイアス」が隠す現実

叩き上げで上まで上がる人というのは、
実はごくわずかです。

多くの人は途中で離脱し、残った人こそが**“現場の成功者”**。

つまり後継者が対峙しているのは、
**“平均的な現場”ではなく、“勝ち残った猛者”**という構造です。

これは心理学でいう生存者バイアス(Survivorship Bias)

成功事例だけを参考にし、脱落した事例を見落とすことで、
判断を誤ってしまう人間の偏り。

後継者が勝てないのは努力不足ではなく、
そもそも戦っている相手のレベルが違うからなのです。


叩き上げが強い理由──「暗黙知」を持っているから

いまや形式知(テキスト化された知識)は、
ネットやAIで誰でも手に入ります。

しかし、現場の叩き上げが圧倒的に強いのは、
**言語化できない「暗黙知(Tacit Knowledge)」**を持っているからです。


暗黙知の例

  • 「このラインは、〇〇秒のズレが出たときが一番危ない」

  • 「このお客さん、口調が変わった。契約をやめるかもしれない」

  • 「あの社員、昼休憩の入り方が違う。何か起きている」

これらはマニュアルにもデータにも存在しません。
それでも彼らは察知し、そして当てる
この「わかっている感」こそが、現場の信頼の源泉です。


後継者が「勉強しているのに空回りする」理由

後継者がやりがちな失敗は、形式知だけで勝負してしまうこと。


よくあるケース

  • 「PDCAを回しましょう」
     → 正論だが、背景の共有がないと形式だけで終わる。

  • 「KPIを設定しましょう」
     → 目的が現場感覚とずれていると「管理されている」と感じられる。

  • 「組織論的にはこうあるべきです」
     → 理屈は正しくても、実感が伴わなければ“空論”扱いされる。


要するに、
「正しいことを言っているのに、なぜかうざがられる」。

それは、“暗黙知の構造を理解していない”から。

現場は“わかっている人”にしかついてきません。
そして、この「わかってる感」は短期間では身につかないのです。


勝つための第一歩──“知の構造”を理解する

叩き上げと後継者の差は、努力量ではなく知の構造にあります。

「形式知」と「暗黙知」という二層構造を理解しないまま、
どれだけ学んでも現場では通用しません。

次回(第2回)では、この「暗黙知とは何か?」という問いに深く踏み込み、
どうすればそれを“身につけ”“使いこなせる”ようになるのかを掘り下げていきます。


それでは、また次回。
株式会社アカネサス
北條竜太郎

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