伝統和菓子を地域資源として再構築した加工食品工場さまの例です。
石川県の老舗和菓子メーカーは、老朽化した本社工場の改修を検討していました。
創業百年を超える同社は、地元産の小豆・米粉・柚子を原料に製造を続けてきましたが、
観光需要の変化と国内市場の頭打ちにより、次の成長軸を模索していました。
社長は「和菓子を輸出できる加工食品に進化させる」という構想を立案。
国内向けの土産菓子から、アジア市場で流通可能な常温パッケージ菓子へ転換するため、
工場全体をHACCP基準に改修し、国際規格に対応する必要がありました。
当初は経済産業省の「中小企業成長加速化補助金」を検討しましたが、
観光や包装設備が対象外であるため、農林水産省の「HACCP対応施設整備事業」に切り替えました。
行政との協議では、次の課題が示されました。
チームは、都道府県庁・農政局との打ち合わせを12回実施。
工場と見学棟を別棟で設計し、施設区分を明確化。
地元農家との契約書を整備し、原料供給比率を数値で記載しました。
さらに、商談記録や輸出規格書(台湾・シンガポール向け)を添付し、
「実際に販売ルートが存在する計画」であることを示しました。
採択の決め手は、構想が「地域農産物を基軸とした輸出型加工食品工場」として整理されたことでした。
整備後、工場にはHACCP対応ラインを導入。
常温で長期保存が可能な焼き菓子を製造し、
地元農家の小豆仕入量は1.4倍、柚子の作付け面積は20ヘクタールに拡大。
製品はアジア6カ国へ輸出され、輸出売上は3年で5倍に伸びました。
工場には年間3万人が訪れる見学コースを併設し、
観光と製造を一体化した地域モデルとして注目を集めています。
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