こんにちは。
アカネサス代表の北條です。
「製品は10点満点。でも、会社は倒産した」
そんな信じがたい実話があります。
今回から3回にわたり、
「食品メーカーの経営は、最弱点で決まる」
というテーマでお届けします。
2年前、ある醤油メーカーが倒産しました。
創業80年。
全国品評会で金賞。
地域では「味の誇り」と呼ばれていた会社です。
製品力だけを見れば、
間違いなく10点満点でした。
しかし、その会社は倒産しました。
その会社は、北陸の港町にありました。
三代目社長は毎朝6時に工場へ入り、
木桶を撫でながらこう言っていたそうです。
木桶熟成、無添加、地元大豆100%。
こだわり抜いた製法でした。
メディアにもたびたび取り上げられ、
地域の誇りとして知られていました。
製品力:10点満点。
ここまでは、誰もが羨むような会社に見えます。
数字を見ると、別の姿が浮かび上がります。
主力取引先は、地元スーパー3社。
売上の65%をそこに依存していました。
さらに、
という状態です。
実は、崩壊の兆候ははっきり出ていました。
しかし社長は、こうした数字を直視しませんでした。
月次会議で見るのは、売上と利益だけ。
「利益が出てる。大丈夫だ」
そう考えていたのです。
見たくない数字。
それが、この会社の最弱点でした。
2021年春。
主力スーパーの1社が閉店しました。
売上の20%が、一気に吹き飛びました。
突然の赤字転落です。
営業担当者を採用する提案が出ました。
しかし社長は言いました。
値上げの提案もありました。
しかし社長は、こう返しました。
さらに、安全在庫を確保するために在庫を増やしました。
結果として、キャッシュ流出は加速。
翌年も赤字が続き、銀行は追加融資を拒否。
その翌月には支払い遅延が起き、資金ショート。
倒産まで、わずか12か月でした。
社長は、営業を軽視していました。
過去5年間の投資を見れば、それは明らかです。
信念は一貫していました。
「いいものを作れば売れる」
しかし現実には、営業の土台がまったくありませんでした。
営業力:2点。
製品がどれほど優れていても、
それを届ける仕組みがなければ売上にはなりません。
経営は足し算ではなく、掛け算です。
製品力 × 営業力 = 売上
この会社でいえば、
10 × 2 = 20
です。
どちらかが0なら、結果も0になる。
どちらかが弱ければ、全体が弱くなる。
この会社は、「味」という武器だけで戦場に出ました。
しかし、営業という盾がなかった。
強みを磨くだけでは、生き残れません。
もし営業経験者を1人採用していたらどうだったでしょうか。
投資回収期間は、約1年です。
しかし社長は、この投資を行いませんでした。
さらに言えば、
小規模事業者持続化補助金を使う道もありました。
たとえば、
合計200万円の投資に対して、
自己負担68万円で、
という可能性があったわけです。
私は社長に何度か、この補助金を提案しました。
しかし返ってきたのは、こんな言葉でした。
結果は、倒産です。
自己負担68万円を惜しんで、創業80年の会社を失った。
これは、あまりにも大きな代償でした。
アカネサスで補助金申請を支援する中で、
私は同じパターンを何度も見てきました。
→ 売上が伸びず、固定費を払えず倒産
→ 食中毒で一瞬で崩壊
→ どこかが0になった瞬間、倒れる
強みで勝てると思っている経営者は、自らの最弱点から倒れます。
経営は、総合戦です。
製品がどれほど優れていても、
営業・財務・人材のどこかが弱ければ、
その“最弱点”から崩れます。
どちらでも倒れるのです。
強みを伸ばすことではなく、“弱みを潰すこと”が生き残りの条件です。
次回は、もっと衝撃的な話です。
年商15億円。
全国1,000店舗に展開。
営業力は10点満点。
それでも、1か月で崩壊しました。
理由は、食中毒。
品質管理が2点だったからです。
どれだけ営業が強くても、
最弱点が0になった瞬間、全体も0になります。
次回は、
「営業は最強だった──それでも倒れた漬物メーカーの話」
をお届けします。
── 北條竜太郎
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