こんにちは。
アカネサス代表の北條です。
突然ですが、あなたの工場は建て替えができますか?
「古くなったら建て替えればいい」
そう思っていないでしょうか。
実は現在、「建て替えが法的に認められない工場」は少なくありません。
今回は「袋小路の経営」の2つ目として、工場が抱える「物理的制約」についてお伝えします。
自社工場の「用途地域」を確認したことはありますか?
土地は都市計画法によって、用途地域ごとに「建てていいもの」が制限されています。
たとえば、次のような制限があります。
あなたの工場が建っている場所は、数十年前に建設されたものではないでしょうか。
当時は規制が緩かった。
あるいは、周辺が工業地域だった。
しかし、その後の都市化によって用途地域が変更されている場合があります。
その結果、現在では「食品工場の新設が認められない地域」になっている可能性があるのです。
このような建物を「既存不適格」といいます。
現行法では建てられないものの、すでに建っているため存続が許されている状態です。
つまり、建て替えができません。
建物が老朽化しても、同じ場所に新しい工場を建てることができない。
大規模な改修にも制限がかかる。
建物の寿命が、そのまま事業の寿命になるということです。
これが、建て替えできない工場の時限爆弾です。
「建て替えできないなら、他の方法があるのではないか」
そう思うかもしれません。
しかし、どの道を選んでも壁があります。
既存不適格である以上、現在地での建て替えは認められません。
配管が劣化しても、断熱性能が落ちても、部分的な補修でしのぐしかありません。
ただし、部分補修は根本的な解決にはなりません。
多くの場合、問題の先送りにしかならないのです。
都市部に移転しようとすると、土地代と建築費が大きく跳ね上がります。
年商15億円の会社が、20億円の工場を建てる。
その投資回収の見込みは立つでしょうか。
一方で、遠隔地へ移転すれば従業員がついてこない可能性があります。
製造業では、人に技術が紐づいています。
熟練工が辞めれば、その瞬間にノウハウが失われます。
設備は毎年劣化します。
品質事故のリスクも上がり続けます。
建物が古いこと自体が、品質問題の原因になるのです。
その一方で、競合他社は補助金を活用して最新設備を導入しています。
現状維持を続けるだけでは、競争力は確実に低下していきます。
日本には巨大地震というリスクがあります。
古い建物では、配管や設備が劣化しているケースも多くあります。
仮に南海トラフ地震が発生し、震度6強の揺れが来たらどうなるでしょうか。
配管が破損し、設備も損壊。
生産が完全に停止します。
被害状況を確認。
復旧費用は数億円規模に膨らみ、保険ではカバーしきれない可能性があります。
取引先から再開時期の確認が入ります。
再開を待てない取引先は、他社へ切り替えていきます。
売上が立たない一方で、人件費、借入返済、リース料などの固定費だけが流出します。
資金が尽き、倒産に至る可能性があります。
南海トラフ地震は「来るかどうか」ではなく、「いつ来るか」の問題として考える必要があります。
整理すると、次のようになります。
どの方向に進んでも壁にぶつかる。
これが、食品工場が陥る2つ目の袋小路です。
前回の袋小路は、「法令違反を正すか、続けるか」でした。
今回の袋小路は、「建て替えるか、移転するか、現状維持か」です。
そして、この2つは連動しています。
法令違反を正すには、設備投資で効率化する必要があります。
しかし、設備投資ができない。
出口が完全に塞がれているのです。
あなたの工場は、今の場所で建て替えができますか?
まずは、次の3点を確認してください。
これらを自社だけで調べるのは、決して簡単ではありません。
だからこそ、早い段階で専門家に確認することが重要です。
建て替えが必要な場合には、補助金を活用した投資計画も検討できます。
「自分の代で終わらせたくない」
「リスクを正確に把握したい」
そう考えるのであれば、まずは工場の現状を確認することから始めるべきです。
前回と今回で、2つの袋小路についてお伝えしました。
では、どうすればこの袋小路を突破できるのか。
次回は、その具体的な考え方についてお伝えします。
選択肢は2つしかありません。
やるなら徹底的にやる。
やれないなら売却する。
中途半端が最悪の選択である理由。
そして、「時間は味方ではない」という現実。
最終回では、
「“様子を見る”が会社を殺す」
というテーマでお届けします。
── 北條竜太郎
お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。