こんにちは、北條です。
前回の記事で、僕が大学院進学を考えていることについてお伝えしました。
今回はその続きとして、僕が何を研究しようとしているのか──
そのきっかけになった「今後の食品業界の動向」についてお話しします。
以前のメルマガでもご紹介しましたが、日本の食品メーカーは国際的に見て利益率・生産性が非常に低いと言われています。
これは大手企業を対象としたデータですが、中小企業になるとその状況はさらに厳しくなります。
なぜなら、日本の食品業界では、
規模が大きいほど利益率が高く、
規模が小さいほど利益率が低い
という構造があるからです。
弊社が作成した「企業規模と一人あたりの売上・利益」を可視化したものを見ると、
従業員10人以下の企業では、一人あたりの売上・利益が500万円を下回ることが多く、
つまり「給料を払うためだけに存在している会社」になっていることが分かります。
すでに大手でも利益率が低いこの業界で、中小・零細企業の状況は、より深刻なのです。
現在、日本の食品メーカーは、スーパーやコンビニなど量販店への卸販売が主流です。
さらに近年では、
イオン系列の拡大
コンビニ業界の再編(例:サークルK→サンクス→ファミマ)
などにより、取引先の大型化が進んでいます。
ある地方の食品メーカーの事例です。
かつて、サークルKなどの中規模コンビニに商品を卸していたこの会社は、
再編後にファミリーマートとの取引に切り替わりました。
すると、生産量が急激に求められ、
小規模な生産体制では追いつかなくなり、契約が終了。
結果として、経営が大きく傾いてしまいました。
また、組織再編によって担当者が変わることで、既存の取引関係がリセットされてしまうことも珍しくありません。
こうして、「大量生産・大量供給」に応えられる企業だけが生き残る構造が加速しているのです。
本来であれば、
付加価値の高い商品を作り
適切な価格で販売し
利益率を高める
という方向へ進むべきですが、
多くの企業が「とにかく売上を上げること」を優先し、価格勝負・量勝負の土俵に立ち続けています。
さらに、中小メーカーを悩ませているのが、設備投資コストの大きさです。
最近、売上2億円の企業から工場建設の相談を受け、試算したところ…
必要な費用は4〜5億円。
「借入で賄えば良いのでは?」
と思うかもしれませんが、この規模の売上では銀行の融資も下りにくいのが現実です。
生産量を増やさないと売上が増えない
売上が増えないと工場が建てられない
このようなジレンマに陥る企業が非常に多いのです。
こうした状況の中で、日本の食品メーカーは今後、完全に二極化していくと考えています。
大量生産が可能
大手流通・量販に安定供給できる
設備投資ができる規模感を持つ
年商数億円規模
生産量が足りず、取引が打ち切られる
設備投資が難しいため、成長の道筋を描けない
そして後者の企業は、近い将来、大きな危機に直面することになります。
この流れに対抗するには、
業界トレンドを的確に読み取り
年商10億円規模を目指すこと
が重要になります。
しかし、売上が小さい企業は、工場建設のための資金調達すら難しいという壁があります。
そこで弊社では、
「時間稼ぎ」として補助金を活用
将来の成長を見据えて工場建設を支援
といったご提案を行っています。
大量生産できないと生き残れない
賞味期限が長くないとダメ
価格が高いと取引が成立しない
衛生度・HACCP対応が前提である
こうしたルールはすべて、流通側・大手企業側の都合です。
価格を下げるためにマージンが削られ、メーカーにとっては過酷な条件ばかりが課されています。
結果として、こういった条件に対応できない企業は、
市場から撤退を余儀なくされる。
このままでは、
地方でユニークな食品を作る小規模メーカー
歴史ある伝統食品を守ってきた企業
が次々と姿を消してしまいます。
実際、地方の街並みを見てもわかります。
イオン
ユニクロ
コンビニ
ガソリンスタンド
どこに行っても、同じ風景ばかりになっています。
これは、日本の多様性を支えてきた食品文化が失われつつあるという証でもあります。
そんな疑問を持ち、僕自身、情報を探していく中で出会ったのが、
ある大学院で研究されているテーマでした。
この内容が、僕が大学院進学を考えるきっかけになったのです。
その詳細については、次回のブログでご紹介できればと思います。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
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